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涙が滲む
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……情けねぇ。
次から次へと零れ落ちる涙を止める事が出来ず、俺は必死に痛くなるほど目を擦りながら、がむしゃらに走った。
あんなにも俺は、及川さんに嫌われていたなんて。
分かっていたけど、実際に突き付けられると、
辛くて悲しくて、どうしようもなくなった。
俺はずっと、及川さんを尊敬してた。
憧れていた。
及川さんは、俺が出会ったどんな人よりもバレーが上手くて、主将で、キラキラしていて……
岩泉さんは、及川さんのことグズだとか、どーしようもない奴だとかいつも言ってバカにしてたけど、本当はすごく頼りにしてて、慕っていたんだと思う。
他の人達も。
及川さんの回りにはいつも人がいっぱいいて、皆笑顔で、及川さんも楽しそうで。
でも、俺の回りには誰もいなかった。
だから、人気者な及川さんのことすごい羨ましかった。
あんな人になりたいとか、いつも思ってた。
あの人の傍にいれば、俺も少しはあんな風になれるんじゃないかな、なんて……
そんなこと考えながら、本当は、あんな風になりたいんじゃなくて、
ただ、キラキラ輝いている及川さんの傍にいたかっただけ……。
及川さんはいつも笑顔で、他の人達には優しいのに俺にはいつも冷たくて。
『飛雄のバーカバーカ! こっちくんな!
べーー!』
なんて酷いこと沢山言われてきて、俺はやっぱり嫌われてるんだな。
分かってた、嫌われてるって。
他の奴には優しいのに、俺にだけ……。
分かってる、分かってたよ。
分かりたくなかったけど。
今日の事でハッキリした。
俺は、本当に……本気で
及川さんに嫌われていたんだな…………。
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