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心の痛み 及川side
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だんだん口角が下がっていく。
「だから、その変な顔やめろ……胸糞ワリぃ」
「うん。ゴメン」
「ゴメンって言いながらまた変な口しやがって!」
「ゴメンね」
岩ちゃんの怒りのこもった声に、余計に悲しみが倍増して、唇を噛み締めた。
すると突然、岩ちゃんが食器を持って勢い良く立ち上がり、早足でカウンターへと向かって行く。
「えっ! ちょっと岩ちゃん待ってよ!!」
俺は慌てて牛乳パンを口の中に押し込んで、後を追い掛けた。
岩ちゃんは学食から出て、少し歩いた所で立ち止まった。
明らかに背中が怒っている。
「い、岩ちゃん……なんで怒ってんの?」
恐る恐る岩ちゃんの様子を窺いながら、口を開いた。
すると、素早く岩ちゃんが踵を返して、すんごい顔でこちらに向かってきた。
「え? えぇ?!
岩ちゃん!!?」
次の瞬間、固い痛い拳が頬にめり込んで、俺は数十メートル殴り飛ばされた。
「グハァッッ! いぶぁぢゃんんッ!!」
ズザザザザザザザザガガザザザザザザザザザガガガザザザザガザザザザザザザザザガガガザザザザザザアアァァァァァァァァーーーー……。
「本当にうじうじウゼーなグズアホボケカス川!
本気で影山のこと好きなんだろおめーは!
だったらちゃんと気持ち伝えなくてどーすんだよ!!」
「…………」
体の色んなところが痛んで動けず、俺は地面に倒れ込んだまま、ただただ肩で息をするしか出来なかった。
「お前がずっと影山のこと好きで、その想いを消すために、無理に好きでもない女達と付き合い続けてたのは知ってたよ」
「…………」
「その事で女達傷付けて、お前も傷付いて悩んでたのも知ってる。
でも俺がとやかく言うもんじゃねーから黙ってたけど、そろそろ良いだろ?」
岩ちゃんの言葉に涙が零れそうになった。
泣くなんてカッコ悪い。
唇を噛み締めて、グッと涙を堪えた。
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