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恐怖
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俯きながら校門までの道を二人で歩く。
いつもうるさい日向が、一言もしゃべらないことに居心地の悪さを感じながら、もう一つの不安事へと近付いてるのも確かで。
及川さん、もう帰ったかな?
まだ居たらどうしよう……。
今は日向と一緒だし、この状態で及川さんと会って、平常心を保てる自信がない。
頼む! 及川さん、もう帰ってて下さい!
これ以上俺はもう……。
俺の不安を余所に、確実に校門へと近付いていく。
そして、
「飛雄……」
「あれ? 大王様?」
聞きたくないと思っていたあの声が、俺の名前を呼んできた。
やっぱりまだ居たのか。
いつまでも待ってるって書いてあったもんな……。
「なんで大王様がここに?
こんな遅くに、今日はどーしたんですか?」
日向が不思議そうに首を傾げる。
「ちょっと飛雄と話したくて、待ってたんだ」
「影山と?」
「うん。
飛雄、大事な話があるんだ。
ちょっと一緒に来てくれない?」
及川さんは笑顔で日向と話した後、表情をガラリと変えて、俺へと手を差し伸べてきた。
その目があまりにも真剣で鋭く、俺は恐怖を感じて思わず後退りをしてしまう。
「あ、俺は……あんたと……話すこと、なんて…ない」
着いて行ったらまた昨日と同じ、酷い事をされるかもしれない。
俺は背中にびっしりと嫌な汗をかいていた。
「ゴメン飛雄……お前になくても俺にはあるんだ。
お願い……一緒に来て」
そう言ってゆっくりと近付いて、俺の腕を掴もうとしてきた。
嫌だ……来るな……
俺はもうあんたとは……
情けない、また涙が
「飛雄」
腕を掴まれた瞬間、色々な感情が溢れてきて苦しくなり、俺は思わず及川さんの手を強く思いっきり払い除けた。
「嫌だ! 触るな!!」
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