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悲しそうで苦しそうに……
あんな顔、今まで見たことない。
俺が及川さんに、あんな顔をさせてしまったのか?
他の人に見せるのはいつも笑顔で、
俺には苦しそうな顔?
ふざけんなよ
なんであんたは……そんなに俺が嫌いなのか…
及川さんの姿が見えなくなるまで、ただ呆然と立ち尽くす。
「あの大王様が、泣いてた……」
一緒に黙って傍にいた日向が、呟くように口を開いた。
その言葉で、昨日あった事や、中学の時の及川さんの意地悪な顔、そしてさっきの苦しそうな顔全てが入り交ぜられて頭の中を埋め尽くした。
「及川さん……」
「大王様、昨日って言ってたな。
影山の目が赤かったのって、昨日大王様と何かあったからだったの?」
「…………」
何も言えない俺に日向はどう思ったのか分からないが、何故か頭を撫でてきた。
温かい感触に首を傾げる。
「……?」
「昨日二人に何があったか知らねーけど
目が赤かったのは、大王様と何かあって泣いたからなんだろ?
今日のお前はすごく辛そうで、見てるこっちまで辛くなった」
「ごめん」
他に言う事が思い付かなくて、ただ謝る言葉しか出てこなかった。
そんな俺に日向はハハと小さく声を出して笑った。
なんで笑うんだよ?
今笑うところか?
不思議に思いながらちゃんと日向の顔を見ると、今度は日向が悲しそうな顔をしていた。
あの笑いは楽しさとかじゃなく、悲しみ。
なんで……お前までそんな顔するんだよ?
俺に関わる人皆が、苦しそうで悲しそうな顔をする。
なんで?
そんな顔見たくないのに……。
皆に笑っててほしい。
笑顔が見たい。
「お前に辛そうな顔してほしくない。
大王様も悲しそうだったけど、そんなの知らねぇ。
俺はお前が大事なんだ。
お前を傷付けた大王様のこと許せねぇ!
もう、大王様に近付くなよ!!」
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