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もう一度ちゃんと想いを 及川side
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『影山見てたら分かるだろ!』
「わ、分かんないよ」
岩ちゃんの自信満々そうな言葉に、不安な心と、それでも期待したいという気持ちとで入り交じった。
『お前と同じ恋愛感情かは分からねーけど、嫌いな奴にあんなキラキラした目で近付くか?』
「俺だったら近付かない……」
中学の頃の飛雄は可愛くて無邪気で、いつも俺に纏わりついてきて。
邪険にして突き放しても、視線はいつも傍にあった。
俺はいつもその視線にドキドキしてたっけ……。
『嫌いな奴の家に行ってカレー食うか?』
「最初、飛雄逃げたけどね」
『俺だったら本気で嫌いなら、相手を殴ってでも逃げるけどな』
「飛雄は岩ちゃんみたいに人を殴らないから!」
『それでもやっぱり嫌いなら、付いて行かねーと思うけどな。
ちょっとでも好きって気持ちがあるから、お前を信じてたから、
だから、酷いことされてショックで泣いたんだと思う』
「俺、飛雄の信頼を失っちゃった……」
『もう一回行ってこいよ。
影山が本気で好きなら、土下座してでも話を聞いてくれって頼み込んで、ちゃんと自分の気持ちを伝えてこい』
「飛雄、聞いてくれるかな?」
『お前の土下座次第だな』
「そうだね……もう一度頑張ってくるよ!」
本当に本気で飛雄が好きだから、ちゃんと俺の気持ちを伝えたい。
こんなにも飛雄が好きなんだって、この想いを知っててほしい。
たとえこの恋が叶わなくても、やっぱり気持ちを伝えるって大切なことだよね。
「岩ちゃんありがとね。
岩ちゃんに相談して良かった!」
『つーかさー、その土下座してるところ見てみたいわ。
モテモテの及川くんが好きな人に必死にすがりつくとか、ゼッテーおもれーだろーな!』
岩ちゃんは俺が土下座しているところを想像したのか、こっちの耳が痛くなるほど大きな声でバカ笑いしている。
せっかく良いこと言ってくれたのに、このバカ笑いで全てが台無しだよ岩ちゃん……。
「もーー!
俺は真剣なんだよ!
人の本気の恋路で遊ばないでよ!」
『まあ、頑張ってこいよ』
「うん。ありがとう!」
岩ちゃんが親友で本当に良かった。
俺はその事が本当に嬉しくて、上がっていく口角を戻すことが出来なかった。
そこで、
プーーーー
っと狭い部屋にチャイムが鳴り響いた。
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