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一緒に走って
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さっきから全然及川さんと話せてない……。
月島と日向の間に挟まれて歩いていて、二人がひっきりなしに話し掛けてくるから、なかなか及川さんの方を見るとこが出来ないでいる。
及川さん怒ってねーかな?
せっかく烏野まで迎えに来てくれたのに、全然話せないなんて。
ずっと及川さんのことを気にしながら、二人の話に相槌を打っていると、いつの間にか坂ノ下商店についていた。
「影山はやっぱりカレーまん?」
「たまには普通の肉まんとかも食べてみたら」
「ん……カレーまんでも肉まんでもどっちでもいい……」
腹はへってるけど、やっぱり及川さんのことが気になって仕方ない。
二人に適当に返事をしながら及川さんの方を見ようとしたら、日向に頬をつねられた。
「イッテェな! んだよ!?」
「余所見すんな!
肉まんかカレーまんかちゃんと選べよ!」
「王様、ピザまんとかあんまんとかもあるけど。
どれにすんの?」
「あーもぉー……どれでもいいっつーの!」
「どれでも良いとか言ったら、キムチまんとかにしちゃうよ?」
「俺は、激辛キムチまんが良いべ。
激辛肉まんとかないのか?
月島は激辛あんまん?」
及川さんが気になって気になってイライラしてきたところで、後ろからいつも聞きなれた声が掛けられた。
振り返るとそこには、にこやかに微笑んだ菅原さんと、烏野バレー部の皆がゾロゾロと立っていた。
「ようっ! お前らも先に来てたのか?
どうせ来るなら、一緒に来れば良かったのにな!」
「え……ハハハ、そーすっね……」
田中さんの元気な声に、苦笑いで返事する。
俺は別に坂ノ下商店じゃなくても、及川さんと一緒ならどこでも良かったんだけど。
「で、日向達は何にするんだ?
今日は大地が奢ってくれるってさ!
早く好きなの選べよ」
なんて菅原さんが言いながら、ポンっと肩を叩いてきた。
不思議に思いながら顔を見ると、後ろの方に視線を向けながら笑っている。
なんだ?
首を傾げていると、突然強く手を握られ、引っ張られた。
「おわっ!」
「行くよ、飛雄!」
引っ張られた方を見ると、及川さんの姿が瞳に映った。
ああ……及川さんの手 及川さんの温もりだ……。
「ハイ!」
微笑んで頷くと及川さんも笑ってくれて、俺達は一緒に出口に向かって走った。
「あっ! 影山ぁ!!」
「あ~ハイハイ日向ぁ~、早く選ばないと反対にお前に奢らすべ~」
慌てたような日向の声と、菅原さんの笑いを含んだ声が聞こえた。
菅原さん、あざっす!!
俺は菅原さんに心中で礼を言ってから、前を走る大好きな人
及川さんの手を強く握って、走った。
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