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俺逹は Share one's fate ~運命を共にする~
鬱夜、帰宅
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「ただいま。」
期末テスト(3日目)が終わり家に帰ってきた鬱夜はそっけなく言葉を発した。
「おかえりなさい。元気ないわねえ〜、何かあった?」
心配になった母親が声をかけてくる。
「別に特にないんで、心配しなくて大丈夫ですよ。…ただ、あるとすれば、そうですね。弟のブラコンさをどうにかして欲しいことぐらいですかね。」
鬱夜はそういうなり、少し笑う。
「ふふ。仕方ないわね。連君は鬱夜君のことが大好きだからね。ほら、やっぱり、血を分けた家族が恋しいんじゃないかしら。」
母親は少し悲しそうな顔をした。が、また言葉を続ける。
「それに、1年の空白というのかしら、あまり口を聞かなかった時期があるじゃない?そのせいもあるんじゃないかしら。」
「1年の空白を埋めようとしていると言うのには納得がいきますが、血を分けた家族が恋しいと言うのは違います。」
母親の透子が目を丸くするのを見て鬱夜は喋り続けた。
「俺は透子さんのことを血は繋がっていなくても母親だと思っていますし、何処の身元かわからないような俺たちを引き取ってくれて、感謝してますよ。それは、連だって同じです。少なくともあいつは透子さんのことを嫌ってません。来栖(くるす)さんに対しても俺たちは父親だと思っています。」
そう。鬱夜と連は血は繋がってはいるが、孤児だった。気がつけば孤児院にいて、そこで生活していた。孤児院での生活は高城夫妻に比較的早く引き取られたので、そんなに思い出はない。でも、自分達でさえ身元が分からないのに、二人も引き取ってくれたことにはどう表したらいいのかわからないほど、感謝をしている。普通の家族みたいに、笑い、泣き、時には叱る。今の家族が鬱夜にはとても居心地がよかった。
普段あまり喋らない鬱夜が必死に自分の母親、父親なんだといってくれて嬉しかったのか、透子は幸せそうな笑顔をする。
透子はありがとう。と言うと台所へと歩いていく。
「何かのむ?疲れたでしょ。」
台所とリビングはお互いの顔が見えるように作られているため、そこから会話する。
「いや、イイです。明日は休みなので寝ます。」
「そう。あまりにも寝ていたら、連君が拗ねちゃうからねほどほどに。」
鬱夜ははい。とだけいって自室に向かい、そのまま自分のベッドにうつ伏せになる形で倒れる。
(眠い。あっ、手紙もらったんだっけ。まあ、後でいいか。)
ベッドに倒れこみ、さらに睡魔が襲ってきた。そして、水に沈むよりも穏やかに夢の世界へと沈んで行った。
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