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俺逹は Share one's fate ~運命を共にする~
連、キレる
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「誰?」
あからさまに嫌な顔をした連は紅咲に誰かを聞く。
紅咲が連にこの前一人で男子校舎に来た女子生徒だということを、耳打ちしているところを横目で見て、鬱夜はまっすぐ駆け寄ってきた女子生徒を見つめた。
「あ、あの。手紙読んでくれた…でしょうか?その、返事を聞こうと…あの、その…お、思って。」
「手紙?あー……えっと「あっ!ごっめーん。その手紙さ貰ってからちょい運が悪くて風が吹いて水にポチャンといっちゃったんだよね〜。直ぐにこいつ言いに行こうとしてたけど、名前がわからなくてさ。本当ゴメン。」
(いや、待て。フォローしてくれるのはありがたいけど、その例えはいいのか?)
「なぜあなたが答えるんです?私は高城先輩に聞いているんですけど。」
「お前、むかつくね。あんた兄さんの何?紅咲さんにそんなきつく当たって何様なわけ?」
紅咲はイイからと連に小さく首を振って見せる。
「あ!あなた高城先輩の弟さん?高城先輩とあまり似てないけど、また違う感じのかっこよさだね。私、高本智代梨って言うの、よろしくね。で、高城先輩。本当ですか?手紙濡れっちゃったって本当のことですか?」
切り替えが早く、さっき返事を聞きに来た時とは別人のようになっていた。少し恐怖を覚える。
「っえ、まあ。うん、ゴメン。」
鬱夜は曖昧に答えてすぐに目をそらした。
高本智代梨は少し考えるそぶりを見せ、それから鬱夜を見た。
「では先輩。手紙の内容、かなり省いてこの場で言います。」
紅咲がやってしまったという表情を見せたが、彼女には見えていなかった。
「先輩。私は今までずっと先輩のことーー「ちょっとまった!この話は今しない方がいいよ。自分のためにも、ね?」
皆の目線が紅咲に向く。
高本智代梨は何故?という風に首を傾げている。
「あー。いや、ほらさ。なんか、俺らの周りはなんか観客が多いから、大丈夫なのかな?とおもって。」
「そんなこと構いません。私の告白に邪魔しないでください。」
「あぁ?今なんつった?」
鬱夜と紅咲は悟った。連がきれたということを。だが、何にきれだしたのかを理解出来たの紅咲しかいないだろう。
高本智代梨も理解出来なかったらしい。
「俺は、今なんつった?って聞いてんだよ。意味わかんねえの?告白?俺の兄貴にお前が告る必要ないから。今すぐに消えてくんない?あと、お前、何様なわけ?」
「っえ?まて、連。ここ学校だぞ。」
いつもと違う様子に不安を感じた鬱夜は連を止めようとする。
「関係ないよ兄さん。兄さんにはこの女は必要ない。」
(ーーー兄さんには、俺がいる。俺だけいたらいい。ーーー)
連は鬱夜の止めを笑顔で返した。
高本智代梨も口を開く。
「弟さんだとしてもあなたにそれを言う資格はないと思うのだけれど。
違うかな?」
皆が静まり帰るのを見た上で高本智代梨は言葉を続ける。
「だから、改めて言うね。高城先輩、私は今までずっと「ほんと毎回変なところで遮って悪いけど、高本さんだっけ?マジで今はここまでの方がイイと思うよ。」
さっきまでの雰囲気とは裏腹に真面目になっていた紅咲は、周りにまで恐怖を感じさせるには十分だった。
「な、なんで……。」
「うん、ごめんね。君じゃあ多分ムリだから。」
高本智代梨は一旦鬱夜を見てから俯き、キリッと唇を噛み締めた。
「高本さん。今日はこの辺にしとこ?お互いに。」
鬱夜はこれ以上二人が高本智代梨を敵視させないために己の口から言ったが、本人は納得がいかない様子だった。
お願い。と、鬱夜がもう一押しすると、また唇を噛み締めた。そして一回だけ頷き、何処かへ走り去ってしまった。
「さ、皆〜俺らは見世物じゃないよ〜。早く家に帰って休んで!っあ、手洗いうがいも忘れずに!。」
周りの野次馬達を解散させるために紅咲はわざとらしく声をかけ始めた。
さっきの騒ぎはなんだったのだろうか。急にきた高本智代梨もそうだが、急に真面目になった紅咲にも驚いた。
…しかし、何より不思議に思ったのは、急にきれだした連のことだった。今まで一緒に暮らしてきたが、あんなに誰かにきれたところなんて鬱夜は見たことがなかったからだ。
連は不良だとしても全て冷ややかにことを済ませていた。人を殴るとしても眉一つ動かさないほどの冷徹さ。と言うより、興味のなさ。
…だが、今回は違った。連の感情が表に出たのだ。今までにあったか…?
「に〜さん!帰ろ?」
ふと連に声をかけられた。
「あ、あー。」
「ねえ〜。喉乾いたからジュース買って兄さん。あれ?紅咲さんも一緒ですか?なんなら一緒に帰ります?」
イタズラに連は笑いながら紅咲に問う。
「お前なあ、俺にまでライバル心燃やさんでいいから。」
ははは。と連は笑い紅咲と鬱夜の間に割り込んでくる。そして、鬱夜の腕を取りサッサと走ってしまう。紅咲もそれについていく。
「ジュースは〜兄さんと関節キスね。よろしく〜。」
連は上機嫌でいるので、何故さっき急にきれ出したのかは考えないことにした。
「俺、ほんとお前のブラコンさにはかなわないよ。」
「うん。だって俺は兄さんのこと愛してるからね。そのうち兄さんもそうなるよ。」
「あっそ。そんな気しねえよ。」
なんだか、この会話自体が馬鹿らしくなり、ふっ。と笑ってしまう。
まだこれから最悪なことが起きることを誰も知らずにーーー。
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