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second season 1
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翌朝ぼんやりと目覚めた僕は、次の瞬間ハッと覚醒すると、慌ててケータイを確認した。
昨日の出来事が夢だったら…。
全て僕の願望が見せた夢だったら…。
不安な気持ちでアドレス帳を開く。
ま行を表示すると、そこには確かに『本宮柳』の三文字が並んでいた。
画面をトップに戻し再び同じ動作をするが、何度やっても『本宮柳』の文字は表示される。
本当に、夢ではなかったのだ。
ほっとして、じんわりと心が温まる。
メールしたら、迷惑だろうか。
流石に電話はムリだけど、メールくらいなら…。
新規作成画面を開いて《昨日はありがとう》と打ち込む。
いや、でも…。
「嫌いじゃない」とは言ってもらえたが、それを真に受けて図々しくメールなんてしては、ウザがられるかもしれない。
嫌いじゃないのと好きなのは、やはり別だろう。
友人としての好きと、恋愛感情の好きも、また別なわけで。
結局いつもの如くウジウジと悩み始める。
メールを作成しては削除し、作成しては削除しを何度となく繰り返す。
その日から毎日、会社から帰ってからは、ケータイのメール作成画面と向き合って。
どうしても送信ボタンが押せないまま、どんどん時間だけが過ぎていく。
そして、あっという間に金曜の夜がやって来た。
入浴も終えてベッドに横になり、いつもの如くケータイの画面を凝視する。
明日は、どうしよう…。
本宮くんは、「また店にも来てほしい」と言ってくれた。
連絡先も、聞いてくれた。
しかし、あれから一週間。
彼からの連絡は無い。
今ごろ、あの言葉を後悔しているのだろうか?
それとも、僕との話など、思い出しもしないだろうか?
いっそのこと、思いきって連絡出来ればいいのに、それすら出来ない自分のウジウジした性格に嫌気がさす。
しかし、そんな僕の心配は、どうやら杞憂に終わったらしい。
だって、次の瞬間、手元で暗い画面を見せていたケータイが、着信音と共に震えたから。
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