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翌朝目覚めると、僕は本宮くんの腕の中に包まれていた。
すやすやと眠る整った顔に、引き込まれるように触れるだけのキスをする。
思わず取ってしまったその行為に、彼を起こしてしまわないか心配したが、本宮くんは目を覚まさなくて。
代わりに、ふにゃりと頬を緩めて幸せそうに僕にすり寄るから、何だか可愛くて仕方ない。
時計を確認すると、まだ早朝と呼べる時間で。
この温もりに包まれていたくて、彼の腕を背に回し、胸に顔を埋めた。
何かが顔に触れる気配に、ぼんやりと目を覚ます。
目の前には、ふわりと笑う本宮くんの顔。
どうやら、先ほどの気配は、本宮くんの手が僕の頬を覆ったものだったようだ。
そして…。
「将吾さん、おはようございます」
ギュッと僕を抱き締めて啄むようなキスをしてくれた。
「おはよう」
昨日の行為を思い出してしまい赤面した顔を隠すように、彼の背に手を回して僕もギュッと抱き締めると、「好き」って短く告げられる。
昨日からもう何度も言われているが、毎回言われる度に嬉しくて、恥ずかしくて。
きっと、僕の照れなんてお見通しなのだろう。
「ねえ、将吾さん。
たまには将吾さんからキスして?」
ご主人様にご褒美をねだる大型犬のような瞳が、僕を覗き込む。
「ぇ…キッ…?」
これ以上ないくらいに顔を真っ赤にしてどもると、本宮くんは楽しそうに「ほら、ここ」と唇を尖らせてくる。
「なんで照れてるんですか?
昨日はもっと恥ずかしいことしたのに」
そう言うこと、言わないでほしい。
本宮くんって、たまにスゴく意地悪だ。
「バカ…!」
ギッと睨み付けても、本宮くんにとっては何て事ないらしい。
「将吾さん、お願い」
男らしく精悍な顔立ちなのに、楽しげに可愛らしくおねだりしてくる。
そして結局、僕はそんな本宮くんに弱いのだ。
こう言うのも、ギャップ萌えって言うのかな。
「~~~…!」
意を決して、唇が掠める程度にキスをする。
「えー、これだけ?」
そう言いつつも、本宮くんの顔はでれでれとだらしなく緩んでいる。
「文句言うならもうしない!」
こっちは恥ずかしくて憤死しそうなのに。
「ごめんなさい。
そんなこと言わないで?
そう言う可愛いところも、大好き」
言ってギュッと抱き付いてくる。
「もう!バイトに遅れるよ!」
キツめに言うと、流石に時計を見て諦めたらしい。
けれど、やはり僕をからかうのは止めない。
「はぁい。
将吾さんはもう少しゆっくりしてってね。
寝不足でしょ?
せっかく合鍵も渡したんだし」
てきぱきと出掛ける支度をしながらそんなことを言い出す。
玄関まで見送ると、靴を履いた本宮くんがくるりとこちらを向いて。
「じゃあ、行って来ますね」
そう言ってまたキスをしてくるから、パタンと閉まった玄関にしゃがみこみ、暫く恥ずかしさに一人悶えた。
本宮くんは、抱き付き魔で、キス魔だったらしい。
しかも、“好き”を連発してくる。
嬉しい誤算だが、やたらと恥ずかしい彼を相手に、僕の身はいつまでもつことやら。
やっと悩みが解決したと思ったら、何とも嬉しい悩みが増えてしまった。
週明け、総務に提出書類を持ってきた桐島さんは、何やら嬉しそうで。
部長と何かあったのかと思ったら、違ったらしい。
「よかったね」
この人は、どこまで何を知っているのだろうか。
極上の微笑みでそんなことを言うから、僕はまた、人生最高潮の赤面をするはめになった。
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