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「兄貴は生きるのに向いてないよな」
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人が嫌いだった。こちらを見る目が、言葉を吐き出す口が、全部が。
『兄貴は生きるのに向いてないよな』
そう弟は笑う。
それは常々自分でも感じていた。
生きていることが、人に混ざっていることが、息苦しくて堪らない。
毎日学校などという場所へ向かう弟の気が知れなかった。
一時期、自分も学校へ通っていた時期があった。
けれど、次第に教室で椅子に座っている間ずっと首を締められていくような窮屈感を覚え始め、気が付いたら、部屋から出ることさえも億劫になる。
両親は俺のことを邪魔だと思っている。メディアでは同じ年の男女が社会で活躍しているニュースが流れているがまるで異世界のような遠い存在に思えて。
俺は、ここにいるべきなのではないだろう。
閉め切られた部屋の中、ここだけが俺の居場所だった。
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