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first day.
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目をさますと、目の前にはユキヤがいた
どこかの…宿?
どうしよう
喧嘩したし、そのあと、触手に犯された、なんて言えるわけがない
「…どうして」
一言、出た言葉がそれだった
確かに、一番気になっていたこと
アシガヤとかいうやつに、羽交い締めにされたはずなのに、なんで目の前にユキヤが…
「あんたを…追いかけたんですよ。シナリオとは違うけど、心配で」
シナリオ?
「ほら、俺らが最初に作られたときに頭にながれを埋め込まれたでしょ」
埋め込まれて…ない
何でだ
…もしかして、俺が主人公だから、プレイヤーが動かすから?
もしくは、バグ??
「とりあえず、逃げますよ」
「なんで」
「…あんたを、守りたいんでね」
そういうなり、彼は俺を抱えあげた
もがいても、もがいても、彼は離してくれない
宿から出た彼は急いで町を出た
森を抜けて、洞窟も抜けて、小さな湖にたどり着くと、ようやく俺を下ろした
「ユキヤ、なんでこんなこと」
「あんたと過ごしたこの痕跡を、さらに刻み付けなければいけないんで」
…それって、どういう…
思わず顔が赤くなる
その顔をまじまじとユキヤが見つめた
すごく恥ずかしい
「…そんな見つめんなよ」
「…好きですよ」
「んなっ…」
なんてことをしてるんだ
今、俺、ユキヤと…キスしてる?
嫌だ
好きだったはずなのに、キスした途端、やっぱりおかしいって
嫌だって思ってしまった
俺はユキヤを突き飛ばした
ユキヤの目が一瞬寂しそうにうつむいたが、すぐにこちらにキスして、首もとを掴むと、また俺をかついだ
「やめろよ…やめろ!こんなの嫌だ!」
じたばたじたばた暴れまくって、湖からでた瞬間、ついにユキヤが俺を落とした
地面に背中を打つ
痛いけど、そんなことどうでもいい
「なにするんだよ!」
俺が好きなユキヤは…ユキヤは…
いつも優しくこっちを見てくれるやつで!
「…もっと、もっとデータが必要になります」
「データ…?」
「あんたが消えないように」
何いってるんだ
俺が消える?
…もしかして、制作者に言われた、あれか?
『今回のゲームは、難易度MAX状態で、主人公死ぬとデータ全部初期化するからよろしく』
データ全部初期化
今の俺が消える
それを…止めるため?
「…俺のため?」
「あんたを拉致れば、動揺するデータが必要になる。キスすれば、怒るデータが必要になる。そうすれば、あんたのデータを食らう時間稼ぎにはなるでしょう」
逃げたのも、俺を動かしたのも、俺を消させないため?
「お前はどうなる」
「俺も初期化されるでしょうから、また次のあんたに会うんでしょうね。今度はフウリからも守って見せますよ」
「そんなの嫌だ」
「嫌だろうがなんだろうが、俺は消えますよ。あんたほど主要キャラじゃない。データだってたかが知れてる」
嫌だ
嫌に決まってる
好きな奴は、俺をかばってくれて、自らは記憶を失った?
消えた?
冗談じゃない
「俺はお前を守る。俺はお前が好きだから」
「…動揺させてデータを産み出させようとしたって無駄だ」
「嘘でもなんでもない…好きだ」
今度は、俺が口づけた
少しずつ舌を絡めて強く吸うと、彼の目が動いた
本当に動揺の色を見せてる
「好きだっ…好きだ…好きだ…」
うわごとのように繰り返す度、彼の目は動揺していた
嬉しくて、嬉しくて
ふいに、彼がクスッと笑った
「やっぱり、あんたは可愛いなぁ…」
「?」
「見ていて癒されますよ」
言うなり彼は、俺を担ぎ上げると町へと向かった
宿へと向かう
「…たぶん、後三日もてばいいってとこですかね」
「ゲーム内でか」
「ええ…俺はいつまでもつか」
死なせるものか
それだけは心に決めている
顔に出ていたのかユキヤが噴き出した
「あんたはほんとに可愛いんですから」
ぎゅっと抱きついた
こんなに、素直になれるなら、もっとはじめからこうしておけば良かった
こんなに、こんなに好きだったんだから
ユキヤに抱きついて眠った
すごく心地よかった
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