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雪城という生徒ー3
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なんて会長のことを考えてまたイライラしながら歩いていると、
「あれ」
と背後から、ゆったりとした、少し低めの声が聞こえた。
この時間ここを通るようなサラリーマンなどはいない。
ということは、俺と同じ遅刻者だろうか?
そう思い立ち止まり振り返る。
「お兄さんも、遅刻?」
スラリとした体型で高身長。
色が白くて、映える猫っ毛のふわふわした黒髪。
はっきりとした二重の瞳。
すっと通る鼻梁。
赤い唇。
「あ、…あぁ」
全てが神から待遇されて生まれてきたような容姿の彼に俺は見惚れて、声を出すのに時間がかかってしまった。
「そ。て、あぁ、お兄さん、俺と同じ学年か」
その少年はチラリと俺の制服のネクタイの色を見て言った。
うちの高校では学年が判別しやすいように各学年で色がふられている。
俺も彼の顔から視線を外してネクタイの色を見る。
青。
二年生だ。
「じゃあ、お兄さんじゃないな…。名前、」
「へ…?あ、俺は新庄」
急な問いに俺は素っ頓狂な声をあげ、ブレザーに付けてある名札のプレートを見せる。
「新庄?」
その文字を見ると彼は眉をひそめた。
なんだろう、何か引っかかるところでもあったのだろうか。
身長の高い彼を見上げながら、首をかしげる。
「………あーあ…」
ぼそりと、何かため息をつくように言った彼はふと軽く笑って元の無表情に近い顔に戻った。
「新庄か、よろしく」
「あぁ。お前は?」
「俺の名前は、雪城。呼び捨てでいいから」
そう言って彼は雪のように、消えてしまいそうに、ふわりと笑った。
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