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放課後、風紀委員から遅刻者の統計の資料をもらうため、生徒会室のある階を通り過ぎもう一つ上の階へと登る。
ここ一週間ほど、雪城が登校している姿を毎日見ているのだが、俺は雪城と一緒に帰った日から話せないでいる。
雪城は根が真面目なのかはよく知らないが、生徒会の仕事はやりに来るし、きちんとノルマをこなしてから帰っている。
ーーーだが、その間の俺たちには、会話はなかった。
誰も寄せつけようとしないその姿に、完全に俺は怯んでしまっている。
俺は本格的にあいつに嫌われている。
少しはましになっただなんて、俺の勘違いだった。
「失礼します。生徒会副会長の新庄です」
見慣れた扉をノックして言う。
だが、ここを訪れるのは久しぶりだった。
ーーー正直、あの日以来だった。
「はい、お待ちください」
と、中から役員の声がする。
軽く走る足音が聞こえて、ガチャン、と大きな扉が、開かれる。
そしてひょっこりと役員が姿を見せた。
「はい、えー…と、こちらの資料ですよね」
「あぁ、これだ。ありがとう」
「いえ」
資料を手渡しされ、軽く目を通す。
「…………」
そんなことを部屋の入り口でしていても、奥からあの声は聞こえなかった。
「なぁ、」
「なんでしょう?」
資料をめくる手を止め、役員の顔を見る。
あいつの声が、
いつまでたっても聞こえなかった。
「風祭は?」
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