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「なんだなんだ、お前ら。うるさいぞ」
俺の声がかなり大きいものだったらしく、奥の資料室にいた御子柴が出てきた。
「あ…、すまない。俺だ」
「あ?新庄か」
資料を手にしながら俺に近づいてくる御子柴。
俺は御子柴が何をしたいのか分からず、少し後ずさる。
「なんだよ…?」
「お前、今日は帰れ。邪魔だ。集中できねぇよ」
ぐいっと俺に近づいて顔を覗いてきたと思うと、形のいい口からそんな言葉が出てきた。
「は…邪魔…?」
「そ。邪魔だ」
はっきりと二度も邪魔だと言われ、さすがに俺も頭にくる。
「邪魔ってなんだよ!俺はちゃんと仕事をしようとーーーー」
「お前、今頭の大部分占めてることはなんだ?それで本当にちゃんと生徒会の仕事、してんのか?」
「っ!!」
思い当たる節があり、俺は言葉を詰まらせる。
…今の俺は、風祭のことばっか考えてる。
生徒会の仕事なんてほとんど頭になかった。
思い返せば返すほど自分が馬鹿らしい。
「わかったか?今いても、意味ねぇよ。帰って頭冷やせ」
「…そうする」
いつも以上に厳しい顔をした御子柴を見て、俺は俯く。
御子柴は滅多に怒ることなんてない。
そんなこいつがこんなに怒るってことは、結構俺ひどいんだろうな…。
「よし!」
「わっ…」
わしゃわしゃと頭を撫でられる。
ぐしゃぐしゃになった髪を抑えながら頭を上げると、ニッと歯を見せて無邪気な笑顔の御子柴がいた。
「本当に、ここんとこすまない…」
「そんな時だってあるって」
と言いながら、御子柴は俺の席に行って鞄を取りに行く。
「ほらよ」
「ありがとう」
渡された鞄を肩にかける。
「みんな、すまない…」
鞄の取っ手を握り、頭を下げる。
「いえ、俺たちも不謹慎でした…」
「こちらこそ申し訳ないです!」
と、あちこちから役員の声が聞こえて目から何かが溢れてくる感覚がする。
「…下まで送る」
そんな中、一人、あまり聞きなれない声がした。
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