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小さな願いー1
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「…下まで送る」
暫くしてその声の主がわかって、俺はそいつの方へ顔を向ける。
そいつも俺の方をじっと見ていた。
そいつは怖いほど綺麗で、どきりと、胸が音を刻んで俺は慌てて視線を外した。
なんだよ、俺の心臓。
いつもと変わらないのに。
「…わかった」
ぼそりと、そう言うと椅子から立ち上がる音がして足音がこちらへ向かってきているのがわかった。
そしてはたりと、俺の前に俺と同じ色の上履きが止まった。
まだ新しいものだ。
なんて呑気に思っていた俺の腕を、白く華奢な腕がぎゅっと掴んだ。
「…視線、外すなよ…」
そう一瞬、俺の耳元で囁く声が聞こえた。
その声に俺は体をビクつかせる。
背筋を電流が流れたような感覚だった。
「…行くよ」
「うわっ」
変な感覚に俺は浸っていると、ぐいっと腕を引っ張られ外へと連れて行かれた。
そいつの、猫っ毛がゆらゆらと揺れるのを俺は後ろから見ていた。
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