アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
口悪男ー1
-
駅からの距離がさほど変わらないならそのまま行けばいい話なのだが、方向は全く違うので、俺は一旦家に帰り自転車で雪城の家に向かった。
まだ夏とは言えない時期だし、昼のように過ごしやすい夕方だ。
俺はシャツにパーカー、ジーンズとゆるい格好をして自転車に乗っていた。
時折通る風が俺のパーカーをパタパタとはためかす。
馴染みのある風景、よく通る道なのに今まで雪城と会わなかったのが不思議で仕方ない。
くっと手に力を入れブレーキをかけると俺は道路の端に鍵をかけて自転車を停めた。
自動ドアを通り抜けて、エレベーターに乗り込み雪城の住む部屋の階のボタンを押す。
二階、三階…と上がるにつれ、ドキドキと心臓の音が激しくなる。
これは一体何の動悸だろうか。
緊張?
なんて、俺が彼にするのだろうか。
エレベーターはゆっくりと動きを止め、7階に着いた。
703号室。
エレベーターからそう遠くない位置にその部屋はあった。
表札には名前は書いておらず、何とも雪城らしかった。
そんな小さなことに少し笑って俺は一つ深い深呼吸をすると、インターホンに人差し指を突き立てた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
91 / 334