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口悪男ー3
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「雪城って…あぁ、槙乃?」
片手を腰に当て、開けたドアに体をもたらせてだるそうに言う御子柴もどき。
「そ、そうですけど…」
「そいつ、知ってる」
「本当ですか!?」
「ん」
なんだか、御子柴もどきは雪城のことを知っているらしい。
雪城には住所を誤魔化されたけれど、御子柴もどきに聞けばいい話だ。
「え、と…あの、雪城くんはどこに…?」
目につく刺青にビビりながらどうにか目を合わせて雪城の所在を聞き出そうと試みる。
が、
「あ?つか、お前誰だよ」
「ひっ」
俺が聞いた瞬間に御子柴もどきは俺を睨み付け、更に声を低くしてきた。
「え、や、…同じ高校で…」
「ふーん…で?そんな奴が何の用?」
「ゆ、雪城くんが最近学校に来ないので…様子を見に来たんですが…」
どこにいるんですか?と、最後まで言う前に御子柴もどきが部屋に戻ろうとし始めた。
「あ、待って下さい!話はまだーーー
「うるせぇな。これ以上喋ったら、ぶっ殺すぞ」
ひゅ、と恐怖で喉が鳴る。
こ、殺すとか…御子柴と同じ顔で言わないでいただきたい…。
あいつは絶対そんなこと言わない奴だし。
なんて、そんな俺の心の声はもちろん、届くはずもなく睨みつけられ、俺はただ立ち尽くすだけだった。
「これ以上、あいつを傷つける奴は容赦無く潰す」
「は、はい…」
そう俺が小さく返事をすると御子柴もどきは部屋へ入ってしまった。
緊張から解放され、俺は静かな廊下にぺたんと座り込んだ。
彼が雪城にあれほど敏感なのは、何故だろうか。
そして彼と雪城の関係はなんなのか。
たくさん、聞きそびれた。
だけど、再び勇気を出すこともできない臆病者はただその目の前にある一枚の壁を見つめるしかなかった。
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