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ヒョウとキリンー3
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「というか、キリンくんってあだ名、だよな?」
「ん?うん。本名は、春野 千歳」
本名を聞いたけど、キリンの“キ”にもかかっていない。
「でっかいし、おとなしいから。ちょーっと気が弱いところがあるのが、レギュラーとしての欠点かなー」
少し困り顔で言う風祭の顔は、バレー部のキャプテンって顔。
「まぁ、でもプレーじゃ欠点なんかないからなー」
「そうなのか。キリンくん…なるほど」
癒される雰囲気がある彼にはぴったりな気がしてきた。
あの髪型かな、ふわふわしてる。
それとも、顔?
笑った顔とか、すごく癒されそうだ。
「てか、お前、何しに来たんだよ」
「え?春ちゃんと喋りたいなって」
この前から遠慮なしに来るな、こいつ…。
なんて思いながらも、そばにいることを許してしまう。
「お前、懲りないな」
「春ちゃんが好きなのは変わんないから」
「そ」
なんて素っ気なくしても、きっとこいつは何も気にせずにずっとくっついてくる。
そういうやつだ。
「あ、御子柴と烏帽子クンとキリンくんが走るよ!」
「うっ、わ!?」
椅子に座った風祭に腕を引っ張られ、隣に座らされた。
そしてその手はするりと下り、指を絡めて手を握ってきた。
「お前…なにしてるんだよ…」
「この競技が終わるまで、お願い」
「……」
睨むように風祭を見たが、本人は真剣な顔で前を見つめているから、これ以上何も言えなかった。
近い距離で、遠かったこの距離を風祭は少しずつ、少しずつ埋めていく。
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