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無意識の、独占欲ー1
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ーーーあれ。
無事午前の競技が終わり、体育祭の午前と午後の間に入れられる昼休みに入った。
俺は生徒会室で昼食を取ろうとしていた。
ぞろぞろと移動する生徒たちの流れに沿って歩く。
中には見に来ている家族と昼食を取る生徒もいて、ポツポツと運動場にも生徒の姿はあった。
そこは去年も見たからさして驚かない。
だが、その中に雪城と見知らぬ女性が共にいるのが見えた。
母親だろうか、と思いはしたがそれはないだろう。
黒髪のロング、白い肌にスーツを着込む彼女は彼の母親と言うには若く、綺麗だった。
スレンダーで、はっきりとした大きな二重の瞳。
風でさらさらと髪が揺れる。
全部、俺にはないものだった。
雪城と話しながらふと優しく微笑む顔。
…モテるのだろうなぁ。
遠くから見て思う。
その二人はどう見てもお似合いのカップルみたいだ。
「あれ、雪城くんの彼女かな?!」
生徒の中で気付いた女子生徒の声が聞こえる。
ほら、恋人同士に見えるらしい。
ぎゅっと心臓を掴まれている感じがする。
キリキリと、それは強い痛みに変わる。
これ以上、二人を見たくなくて、ふいっと目をそらした。
でも、どうしてか頭の中ではあの二人の姿が離れない。
見たくないのに、なんでこんなに頭に残るのだろう。
はやくどこかに行きたい。
はやく、昼食をとって午後のことを考えたい。
「あーぁ…」
どんよりした、この気持ちと正反対の、
真っ青な透き通る空を見上げて呟いた。
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