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踏ミ込ンダ世界。
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紅葉狩りという言葉を聞いて、不思議に思ったことがある人挙手!!!!!
俺は長いこと不思議に思っていた。
なんで『狩り』?
小さい頃は、『狩り』の言葉のインパクトが強くて本当に何か狩るイベントだと思っていたのは俺だけじゃないはずだし、今画面の前で
「あ、そうなんだ」
って思った素敵なレディ達がいるのも俺には分かるぞ。
(ちなみに『紅葉狩り』の意味は色付いた紅葉を眺めて楽しむことである。)
それで色々調べたわけだ。
そもそも『狩り』って言葉自体は、みんなも馴染みがある感じで動物をその名の通り『狩る』ってことなんだけど、
それが段々と意味の範囲を拡大していって、植物を採集するようなことも狩ると表現するようになっていったわけだ。
ぶどう狩りとか、いちご狩りとかそういう感じ。
で、そこまではまだ何となく理解ができた。
ああ、確かに収穫してるよな〜。
狩り取ってるよな〜って。
で、そこから先の広がりが凄くて
そこから草木や花、自然を愛でることを狩りと表現するようになったそうな。
いや、凄いなと。
愛でることと狩ることって真逆じゃないだろうかと俺なんかは思うわけだ。
でもよくよく色んな説を聞いてみると、
平安時代、(動物などに対する)狩りをしなかった貴族が自然を愛でていたこと(実際に手に取って楽しんでいたこと)などから、それを狩りと表現するようになったという説を知った。
つまり、平安時代は紅葉の綺麗な色付きを楽しめる場所・・・渓谷や山なんかに行くことが『狩り』と同等だったってことだ。
平安の貴族に、山などで野性味のある自然鑑賞をすることは下品な行為とされていて似合わないとされていた。
その話を思い出しながら。
俺は目の前に立っている、貴族然とした美しい人を見ているのであった。
その。
恐ろしいほど紅葉が似合う。
それでいて、本当に。
狩りという言葉が適切に思える。
攻撃的なまでに美しいその人を。
<***>
「・・・あれ、どこだここ」
迷子?
俺迷子??
「・・・ですよね」
さてここで現在の状況を説明しよう。
俺は最近知ったその紅葉狩りに対しての知識を引っ提げて、正しく自然を愛でようと地元の霊山と名高い山に登ったわけだ。
観光名所になっているような場所というのは、総じて地元民が行かないことが多い。
そういう灯台もと暗しな感じを後悔しつつ、美しい自然に抱かれて、感動しながら歩き回っていたわけだ。
しかしながら自然というのは凄まじいもので。
美しいものでありながら、人間なんてあっという間に飲み込んでしまう。
それが現在の俺。
遭難者に成り果てた俺の現状である。
・・・うんまあね、完全にフラグ立ってたからね。
始まり方からしてな、これは遭難するわ。
作者も甘いんだよ、もっとこう・・・。
話が逸れたな。
そもそも地元民なだけで何も知らない山に無計画無知識で入っていったらそりゃ迷うだろうな、普通に考えて。
「・・・どうしようかな((グゥウウウウ・・・」
丁度そのタイミングで、見計らったかのように腹が鳴った。
誰か俺の腹にマイクでも設置したのだろうかというくらい山中の渓谷に響き渡る腹の虫。
グズりかたが三歳児。
どうしよう。
戻る方法なんかないかな。
つか地図とかねえのな、なんて不親切な観光名所!!
腹が減ったと意識した途端、空腹感が増し始める。
ドサァ・・・
「・・・」
俺は一面に広がった紅葉の絨毯(じゅうたん)に倒れこんだ。
俺、死んでしまうんだろうか。
こんなとこで死んじまうのかな。
ああこれが走馬燈ってやつか。
頭の奥で、瞼の裏で今まで見てきた色んなものが流れていく。
友達の笑顔も、昔読んだ小説も、好きなゲームも、テレビ番組も、この小説を読んでイイネ押してる読者さんも、噛り付いたチョコレートも・・・。
・・・あれ。
最後二つおかしくねえか。
作者の願望じゃねえか。
ちょっと作者に走馬燈見させてくるわ。
意識がゆっくりと遠退いてゆく。
紅が良く映える青い秋の空。
ふわりと舞い落ちる紅葉。
俺の意識はそこで途絶えた。
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