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契約ノ煙。
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「宵、起きろ」
パシパシとおでこを叩かれ、俺は薄く瞼を開く。
んん・・・?
デジャヴ?
「・・・こうよ・・・いや、ひすい・・・?」
のそのそと身体を起こすと、一瞬びっくりしたような表情をして、すぐに小さく笑った人物と目があった。
「よくわかったな」
<***>
「緋酔、おはよ・・・」
目をこすりながら布団から抜け出す。
布団の吸収能力高すぎると思う。
布団とこたつな。
アイツらマジで天下取れると思う。
「・・・おはよう」
緋酔がそう返答しつつ俺が布団から出てくるのを待っている。
ちなみに紅葉は俺に用事があるときは布団を強制的に引き抜いてくる。
テーブルクロス引きじゃねえんだから。
年末の一芸かよ。
ちなみにちなみに、尾咲はというと布団の中に一緒に入ってこようとする。
猫だからだろうか。
ただ猫状態である斑の時で入ってくるならまだしも、イケメン状態の尾咲で入って来られると色々ビックリして一番目が覚める。
寝起きイケメン顔面眼前はダメよ。怖いもん一周回って。
イケメンって破壊力ある。
なので尾咲が来ると目が覚める様になりつつある。
「・・・どうしたんだよこんな朝早くから」
まだ頭は回りきっていません。
夢かな?
「どうしたもこうしたも、お前の鍛錬に決まってんだろ。っていうかお前が俺に頼んできたんだろうが」
「あ、そっか・・・って、本当に師匠になってくれんの!?」
目も覚めるわ。
勢いよく緋酔の顔を見上げる。
アッイケメンだ!!!!(((
「・・・まあな。っていってもお前の第一の師匠みたいに温く(ぬるく)はねえけどな」
一瞬驚いた顔をしたけど、すぐに平素の顔に戻る。
ちょっと嫌そうに口の端を上げて話すのは癖なのだろうか。
・・・。
「ッ、ありがとう緋酔!!!!!」
「うわっ、なん・・・」
色々考えた結果、緋酔に飛びつくという短絡的な行動に至った。
・・・んーと、抱き着くのほうがしっくりくるかな・・・。
思わずだ、思わず。
なんか色々こみ上げてくる嬉しさが俺の足にバネを仕込みやがりました。
「えへへ・・・嬉しい」
「・・・」
思わず笑顔になってしまうのは、致し方ないだろう。
困惑しているっぽい緋酔は、行く先を失った両手をさまよわせていた。
<***>
ということで、前述の通り緋酔に鍛錬をつけてもらえるようになった。
強くなりたいっていう俺の言葉に一応の信頼はあったらしい。
あとずっと思ってたけど、すごい説明が長いし分かりにくいですねすみません。
フィーリングで!!
それっぽい感じで理解しておいてください。
まあ理解してなくても問題ないです(?)
・・・とにかく。
緋酔という第二の師匠をゲットしたわけで。
「・・・あれ、紅葉は?」
「狐のことか。さあな、俺は知らねえけど」
最近基本的に家に居ないなアイツ。
アイツの家なのにな。
「とりあえず外に出るか。ここにいてもなんもねえから」
人ん家を何もない呼ばわり・・・。
しかも否定できない悲しさ・・・。
必要最低限しかないの。
大体は紅葉が種なしマジックで出してしまうっていうのもあるけど。
台所とか顔洗うくらいしか使わない。
暴言を吐いた緋酔が先に家を出て行ってしまうので、俺も後を追いかける。
そこそこの速さで歩いていたんだけど、俺の走る気配に気が付いたのか速度を緩めてくれた。
そういうとこあるんだよなあ。
何というか。
俺様気質なのに気遣いができる人みたいな。
おモテになるんでしょうねギリィ・・・。
「まずは・・・まあお手軽に森だろ」
「うわあ、RPGみたいなこと言うんだな」
「なんだ、そのあーるなんとかって」
ロールプレーイングゲーム、ゲーム世界である人物として冒険したりするゲーム、とか言っても伝わんねーだろうよ。
っていうかゲームっていうものが存在するかどうかも謎だし。
「なんでもねー。やっぱ森って妖怪とか多いんだな」
「この世界が妖怪しかいない世界だからそれは当たり前なんだがな。それでも妖怪は基本的に自然に起因していることが多いから、自然そのものである植物や森は必然的にそうなるな」
とにもかくにも、俺と緋酔師匠は森に移動したわけだ。
<***>
森の中は結構涼しい。
生い茂る緑の葉、木々のざわめき。
気持ちいいぞ・・・。
しかし!
こういう気持ちは破壊されるまでが早い!
「ふんふん・・・みゃっ!!!?」
鼻歌を歌っていた俺は飛びのいた。
若干の奇声を上げて。
俺も人生で初めて発した。
いやあ自分のことでも知らないことっていっぱいあるんだね!
勢いそのまま隣を歩いていた緋酔にしがみつく。
「・・・どうした」
「あ、や、や・・・あれ、アイツ・・・」
震える声と手で、俺は木の下辺りを指さす。
「・・・?」
「あ、あれだって・・・あの、黒い奴・・・」
木の下では、黒い塊が小さくうごめいていた。
そう、アイツだ。
「!!?!?」
突然『ソイツ』が目を開いた。
あの無数の目を。
身体の震えが止まらない。
「ひ、ひすい、ひすいぃ・・・」
「何だアレ・・・下等妖怪か」
・・・アレ。
そう、俺のことを度々(たびたび)苦しめてきた、妖怪。
目がいっぱいある塊の妖怪。
「あ、アイツ、ダメなんだよ俺・・・」
もうトラウマレベルで嫌悪を覚える相手。
「前に、襲われて・・・紅葉に助けてもらったんだけど・・・あ、でもその後紅葉に服の中に、入れられたり、して・・・」
「何してんだ狐」
呆れたような声色で、緋酔はその毛玉妖怪と対峙する。
俺は傍の木の後ろに隠れるようにしてガクブルしてるだけだ・・・。
「ん~?コレは・・・百目鬼(とどめき/どうめき)か・・・もしくは太歳(たいさい)の亜種か・・・?まあ、その辺りの末端の末端だろうな」
やっぱれっきとした妖怪なんだな、あの毛玉。
「ひ、ひすい、せめてどっか遠くにやって・・・」
か細い声で訴えかける。
緋酔はため息交じりに、でもちゃんと、毛玉を遠くにブン投げた。
キラリと光る空を見て、俺は長い溜息を吐く。
「ったく、この調子じゃ修行とか言ってらんねえぞ」
「う、分かってる、分かってるけど!・・・アイツはホント無理・・・」
「どこにでもいるのにな」
「うう・・・」
気持ち的にはGが出てきた感覚なんだよな。
って言えば紳士淑女それ以外の画面の向こうの皆々様の8割には伝わるんじゃないかな。
まあ、とはいえつかの間の安息だ。
呼吸を整えている時だった。
ズルズルズル!!!
「!?ぎゃあああ!!!」
「宵!!?」
もうホント今日はいろんな目に遭うな!!!
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