アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
彼岸ノ景色。
-
<***>
ここはどこだ。
「・・・」
俺は目を覚まして真っ先に思った。
地面に寝そべっているらしい自分の視界に真っ先に入ってきたのが、鈍色の空だったからだ。
それから、何で俺は生きているのだろう、と。
確かに俺は、妖怪大合戦に巻き込まれて→鬼に殺されかけて→狐に鬼もろともキッチリ焼き殺された、ハズだ。
いや、だから、死んだのか、俺。
ここは、所謂(いわゆる)・・・。
すこし顔を動かしてから、俺は体を起こした。
「・・・あぁ」
寂しいと、そう思った。
彼岸花が咲き乱れる岸の上。
金色の薄野原(すすきのはら)。
何がかは分からないが、寂しかった。
なんというか、こう。
あの世と言われるものは、もっと美しいモノだと聞いていた。
いやこの場所自体は美しいんだ。
赤と金色が風に撫でられて、大地に生えた美しい毛並みを揺らしている光景は絶景と呼ぶに値する。
泣き出しそうな空の色だけが惜しい気もするけれど、それすら込みで美しい。
完成された、絵みたいな。
現実世界、この世で見ることがかなわない光景であると断言できる。
だけどそれしかない。
人間味が一切ない。
例えば仙人と呼ばれるような種族が住んでいるといわれるのなら、まだ少しだけ納得できるけれど。
現実味のなさに、人気(ひとけ)のなさ。
その生きている活力、みたいなのが余りにも無くて。
そこだけ時間が止まっているかのように、あるいは永遠に廻って(めぐって)いるかのように。
その虚無さが、ひたすらに寂しかった。
『 ――― 』
「!?」
ぷつりー。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 68