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こちら真琴企画室☆リク『デート④』
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ゲームセンターは、休みということもあってか親子連れから恋人同士に、友達と人が溢れていた。
「わぁ。ここも人が多いね、ハル」
「そうだな」
ハルはキョロキョロと見回している。
「じゃぁ、ハルの好きなUFOキャッチャーをしようか?」
提案すると、ハルは早速UFOキャッチャーのコーナーへと向かった。
グルリと回ると、ハルの足が止まる。
「これがしたいの?」
ハルに訊くと、コクりと頷く。
ハルのやりたがっているヤツは、どこからどうみても不細工な作りの縫いぐるみだ。
相変わらずの微妙なセンスだ。
ハルが早速小銭を投入する。
ボタンを押すと、クレーンが動き始めた。
真剣な横顔も綺麗で可愛い。
ユラユラ揺れるクレーンが、縫いぐるみを掴むが断固として動かない。
ちょっと持ち上げかけて、コロンと落ちる。
ムキになったハルだったけど、小銭が尽きてムスッと不機嫌になる。
「真琴…」
「ほら、ハル。頑張って」
小銭を掴ませてあげると、再びボタンを押した。
「真琴…してくれ」
結局ハルは俺に丸投げなんだよね。
得意じゃないんだけど、ハルの為なら頑張って取るぞ!
ボタンを押しながらガラスに密着。
そんな俺の隣にハルが。
顔が近くて、緊張してしまう。
「あ」
やっぱり取れなかった。
わ~!ハル、ガッカリしてるよね?
他の人からは分からないだろうけど、俺には痛いほどに伝わる。
半べそかいてる程の落ち込みようだ。
「ハル…他のをしようよ。これは爪が甘いし、パワーも弱いから難しいよ」
ハルは諦めたのか、頷いて歩き出す。
トボトボトボ…
ハル…。
俺はそんな悲しい顔、見たくないよ。
すると、ハルが再び立ち止まる。
そこのUFOキャッチャーにはスノードームが置かれていて、中には今の季節らしく海の仲間が居る。
箱にフックが付いていて、その穴に引っ掻けて動かして落とす仕組みらしい。
「ハル、これが欲しいの?」
「…別に」
「よしっ!」
ハルは否定したけれど、欲しいに決まっている。
声が、表情が語っている。
俺は小銭を投入して、ボタンを押した。
集中、集中!ハルの為に絶対に取ってやる!
「あぁっ…クソッ」
何度やってもなかなか取れない。
絶対に取ってやる。
「よ、よしっ!行け~っ」
「…!」
上手く引っ掛かり、少しずつズレてきていた景品が、とうとう…。
ガタンッ
「…!」
「や、やったぁ~!ハル~!!」
念願の景品が、落ちてきた。
顔を見合わせて大喜びの俺達は、周囲の視線に気がついていなかった。
小学生並に喜んでしまっていた。
この場合ハルは無表情だから俺ひとりがはしゃいだ形になったけどね。
そんなことは、どうでもいい。
ハルがこんなにも嬉しそう…しつこいと思うけど無表情に頬を染めただけだが…なんだから。
「ほら、ハ~ル」
取り出してスノードームを渡すと、ハルは目の位置に掲げてジッと中を見つめた。
雪の代わりに、水色の粒が中をグルグル回る。
海をイメージしているからか、中にはイルカがジャンプしていて、シャチが水面から顔を覗かせている。
ほのぼのしていて、可愛い。
ふふっ…。
それを見てハルが微笑んだ。
俺は思わずスマホを取り出しそうになった。
可愛すぎるよ…ハル!
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