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こちら真琴企画室☆リク『デート⑤』
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ハルのご機嫌が上向いた所で、丁度良い事に試写会の時間がきた。
俺達はチケットを出して、パンフレット等を手にして飲み物とポップコーンをお供に座席へと着いた。
二人並んで座る。
昼食で入った店と同じく女同士、カップルだらけだ。
まさか男同士が俺達だけだとは、思いもしなかった…。
それもそうだ…内容は高校生男女の淡い恋愛がテーマだからだ。
コメディも入っているとはいえ、恋愛物に違いないから仕方無い。
正直恥ずかしい。
ソワソワしていると、ハルが急に俺の手に自分の手を重ねてきた。
ドキッ
横を見る。
「どうした?真琴」
「…いや、何でも」
何でもと言うのは嘘だ。
たった今、心臓が尋常でなく跳ねている。
今までだって、手が触れあうこと…繋いだこともある。
だけど、いつもとは俺の心づもりが違うわけで…。
「は、ハル…この手は?」
俺が訊くと、ハルは眉を寄せた。
「お前が落ち着かないからだ」
こうされる事で余計に落ち着かないんだけどね。
変な所で鋭いというか、気がつくというか。
「ハル…ありがとう」
嬉しくて笑顔でお礼を言うと、ハルは「落ち着いたんならいい」と、ぶっきらぼうに返してきた。
その後、残念なことにハルが手を離したので俺は手持ち無沙汰になった手をポップコーンに伸ばした。
映画が始まると、物語に集中した。
途中ハルを見ると、綺麗な瞳をスクリーンに向ける横顔にぶつかり、俺は暫く見とれてしまった。
映画の内容は、特別目新しさは無かったけど楽しく観れた。
男女の恋愛がテーマだけど、コメディなのですんなりと頭に入ってきた。
普通の男女なら、恋愛への発展の可能性は高い。
だけど、俺の恋心が隣の幼馴染みに届く可能性は…。
ハルは以前、恋バナを振られたときに初恋相手に『滝』をあげていたなぁ~。
…おかしな思考回路だ。
そんなハルがこの先、恋に落ちるとしたらやっぱり水、水泳関係で知り合った女の子なんだろうなぁ…。
はぁ…。
そこまで考えて気持ちが滅入りそうになる。
あんなに楽しみにしていた『デート』だったのに。
ハル…。
切ない気持ちを込めた眼差しを愛しいハルに向けた。
「…!!」
ハルがハッと表情を変えた。眉が上がり、瞳が見開かれる。上体も前になる。
キスシーンか!?
ハルがそこまで食いつくなんて…!
そう思いスクリーンを見ると、そこにはハルの好きな、ゆるキャラが…。
そうだった。今回は話題性も含めて、ゆるキャラが出るんだった。
その、ゆるキャラを餌にハルを誘ったんだった。
ハル…ブレないな。
ありがとう、ゆるキャラ!
当分はハルに、彼女の心配は無さそうだ。
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