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こちら真琴企画室☆リク『デート⑥』
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映画が終わってハルにサプライズで、ゆるキャラのぬいぐるみを買ってあげると、目をキラキラさせて喜んでくれた。
買ってあげて正解だったな。
可愛い顔をして、ぬいぐるみをなでなでしている。
ハル…かわいすぎる!
それから、二人でゆっくりと劇場を出た。
人混みをすり抜けながら駅へと向かう。
「映画面白かったね」
俺がそう言うと、ハルがコクりと頷く。
「好きなキャラが出て嬉しかったでしょ。ハル食い付きすぎだったもん」
「…」
恥ずかしいのか、ハルは視線を遠くへと投げた。
「…あんな恋愛出来ると楽しいんだろうね~」
カマをかけた。
好きな人や好みの女の子の話なんて、今まで一度もしたことのなかった俺とハル。
俺は小さい頃とかに、可愛いなと思った女の子は居たけど、ハルが好きな事にも小学生の頃には気がついたから…。
だけど、ハルは違う。
独特の感性とか、無表情で普段感情を表に出さないけれど、それでも高校生男子に違いなかった。
普通の男女の恋愛に気が向かないわけがない…!
そう思っての質問だったんだけど、ハルは無反応。
あ、アレ…?
「ハル?」
するとハルは、チラリと視線を向けてきた。
「お前はあんな恋愛が理想だったんだな」
へぇ…といった様子でハルは再び前を向いた。
うわぁッ!違うんだよハル~!
ハルの真意を聞きたくて質問したとも言えず、俺はアタフタとした。
ハルは、もうどうでもよさそうだ。
だけど、誤解されては困る。
俺は女の子と恋愛したいんじゃないわけで、ハルとじゃなきゃ意味ないんだから。
「ハル、ねぇ、ハルってば!」
俺はハルの顔を覗きこむ。
自然と二人の足取りが止まる。
「俺は別に女の子と恋愛したいんじゃなくって、その~あぁっ、もう!」
「じゃぁ、何だ」
ハルの表情から負のオーラが…何でだろう?
疑問に思いつつも口を開く。
「ただ、ハルの恋愛に興味があって…その聞いてみたかっただけで。…ゴメン」
俺が謝ると、ハルがハァッと溜め息をついた。
「……興味は無い。俺はフリーがあればそれでいい」
「フリー…。だよね~!今は俺たち水泳で優勝目指すのみだよね!」
俺はハルが女の子との恋愛に興味が無いという安心感と共に、恋愛自体に興味が無いという不安も感じつつ、取り敢えず安堵の息を吐いた。
いいんだ!
これから少しずつアピールしていけば。
ハルと一番長く過ごしているのは俺なんだから。
自信を持て、俺!
握りこぶしを掲げる。
そんな百面相をしている俺を眉間に皺を寄せて見ているハル。
道のど真ん中でデカイ男が百面相。
隣で微妙なキャラのぬいぐるみを抱いて様子を見守る男。
それを遠巻きに街の人々が好奇の目を向けていた。
「あ、アイツら…!?」
「どうした?」
丁度通りかかった凛と宗介。
おかしな二人の様子に、見なかった事にしようと、その場を足早に立ち去ったのだった。
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