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寝かせて。
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「いぇーーーい!お疲れさまです佐伯先生!」
耳元の大声にキーン、と耳鳴りがする。
小さく呻いて抗議するが、目の前でにこにこと上機嫌の彼──同僚の秋月は気づいていないようだ。
秋月が今日受け持った患者は結構な量だったはずだ。
それなのに微塵の疲れも見せない彼は一体どうなっているのだろう。
「秋月先生…お疲れさまです。どうかされたんですか?」
「実はですね〜……ここだけの話、超高級ソープの無料券をゲットしたんですよ」
「はぁ……そうですか」
なるほど、と多少は納得がいった。
秋月はうちの大学病院で有名な女好きだから、ソープの券を手に入れたとなればテンションが上がるのは何の不思議もない。
だけど、そのテンションのまま僕に接するのは勘弁して欲しい。
「で、いつも忙しい佐伯先生の癒しになればと思って!」
ハイ、と紙を差し出される。
鮮やかなピンク色に目がチカチカする…。
こんなの患者に見られたらどうする気だろう。
「まぁ早い話がこれからご一緒しませんかっていうお誘いなんですけどね!」
マジか。
「気持ちはありがたいんですけど、僕ほんと疲れてるんでご遠慮させて頂きます」
丁重なお断りの文句も、秋月には全く効果を示さなかったようだ。
「もー佐伯先生ったら!そういう時こそ女の子に癒してもらうんじゃないですか!」
笑顔の秋月にぐい、と引っ張られる。
「あのほんと、寝てなくて…徹夜明けで…」
「さぁ行きますよ佐伯先生!可愛い子いっぱいらしいですからね〜」
必死に訴えるも虚しくタクシーに押し込まれた。
ちょっとは人の話聞けよ……
盛大にため息をついて、イスに身体を沈める。
1日の疲労が澱のようにのしかかってきて、結局疲労感に勝てずに目を閉じた。
訪れる眠気に身を任せて、いつの間にか束の間の浅い眠りに落ちていった。
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