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私は、所謂「作家」を生業(なりわい)として、生活している。
ジャンルは特定としていないが、ある程度は人気があると思っている。
取材に行くのはごくたまにで、ほとんど家に引きこもってばかりだ。唯一外に出るのは、日用品や食材を買いに行くくらい。
自宅で引きこもりの日々の私は、正に彼と正反対とも言える。
「……先生、最近寝ていないのでは?」
昼間、長年編集担当をしてくれる淡島龍太郎(あわしま りゅうたろう)が、ソファーで向かい合わせになっている私の顔を覗き込んで、そう言った。
「そう? 寝ているつもりだけど……」
「うっすら、隅がありますよ」
淡島は自分の目の下の辺りを指でなぞりながら、私を見る。確かに、隅があるのは否定できない。朝起きて、鏡を見てそれは気がついた。
昨夜、彼が夕食を食べ風呂に入ったあとに、ベットに入ったのは2時頃だった気がする。
目が覚めたのは、7時頃。彼は居なかった。
眠れてはいない。しかし、眠りが浅く夢も見ていないのは、自覚があった。
「そんなことよりも、打ち合わせを」
「……わかりました。それでは──」
これ以上何も聞かれたくなくて、私は話を逸らした。
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