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1日、2日、3日が経った。
それだけ進んだ時間の中で、ペンを進められたのは、原稿用紙10枚未満だった。
書くことはほとんど決まっているのに、なぜか手が進まないでいた。
「……」
ため息にため息が続いて、苛々は着々と積もっているのを感じていた。
彼とも、連絡すら取れていない。
前にも、3日どころか1週間声を聞くことができないことがあった。それなのに、たった三日しか経っていないのに、今回は妙に不安で、落ち着かない。声が聴きたい。
この三日間、食欲も、ゼロに近かった。
流石に全く食べないのは、と思って、少しパンをかじった。それで、満腹のように感じて、あとはお茶やコーヒーくらいしか口にしていない。
食べた方がいいとも感じているけど、体が受け付けない。
ただ、朝浅い眠りから覚めて、ソファーでぼう、っと1日を過ごすだけ。
何かしないといけないとわかっているけど、なにもしたくない。
prrr prrr
テーブルの上で、スマートフォンが着信を知らせる音を鳴らした。
億劫に感じる体を動かして、液晶も見ないまま応答ボタンをタップして、スマートフォンを耳に当てる。
「……もし、もし」
『俺だけど』
彼だ。
「……うん、どうしたの?」
『今日夜行くから』
「うん、わかった」
『……悠?』
「うん?」
彼は何かを感じたのか、すぐには通話を切らずに私に声を掛けてきた。
『大丈夫か? いつもと、違うような……』
「大丈夫だよ。待ってる」
電話が切れて、またぼう、っとそこをみる。
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