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入院して1週間と数日が経っている。最近から、少しづつでも流動食ながらも食べることができるようになっていた。スプーン3、4杯しか胃に入れることは出来ないが、吐くことも無くなってきた。
点滴を受ける時間も短くなった。
多少ながらも、大きな進歩だと看護士は言われたのは、今日の朝。
そして、病室は三人のうち検査入院の人が退院していった。検査で問題がなければ、戻ってくることはないだろうと聞いた。
天江さんは、最近リハビリに行っているらしく、退院も近いんだろう。私は相変わらず窓際のベットで、文字を連ねていた。
淡島も、この間原稿を取りにやってきた。何も変わりもなく、忙しそうだ。
天江さんがリハビリで病室を空けると、私は一人静かな病室にいることになる。それがどうも入院する前の状況とにているような感覚に陥る。
ただぼぅ、っと窓の外を眺める。時間がたつのをすっかり忘れているのだ。そして、検査にきた看護士に声をかけられ肩を揺すられ、はっと我に返る。
食事が多少ながらも口に入れることが出来るようになっても、睡眠は薬が無ければ取ることもできず、総合的にはあまりいい方にもいっていないような感覚だ。
ただ、場所が変わっただけのようだ。
そんな考えをするようになった頃、看護士にある提案を持ちかけられた。
──たまには病室を出て、少し歩いてみたらどうですか?
確かに、入院してから病室からは全く出ていない。ベットから動くのも生理的なトイレの時と顔を洗ったり歯を磨いたりする時しかない。
しかし、そう提案をされても気分が全く向かない。別に、ベットにいるだけでいい。そんな面倒なことしたくない。
やはり、進歩はないらしい。
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