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病室から見える空は憎いほど蒼く、太陽は大地の全てを明るく照らしている。
私は何も変わりもなく、ただベットの上でペンを握っているか、ぼぅ、っと空間を眺めているだけだった。手元にカレンダーを置いていないせいか、今日が何日なのかもわからない。
食事は多少は食べれるよう進歩した。睡眠は相変わらず薬に頼る。そんなところだ。
私が書いた手記と呼べるものは、本として出版することが決まったらしい。同時に、私は当分の間は執筆活動を自粛することを、ついこの間わざわざ編集長自ら訪れ告げられた。
手記が発売される数日前に、発表するらしい。私は発表しなくてもいい気がしたが、一応、ということらしい。
無期限の執筆活動停止。
それは、私にとっては用無と言われたような感覚。
何か出来ていた胸の穴がすこしだけ、大きくなった気がした。
それから数日。無意識にペンを握っていることが増えた。原稿用紙ではない白い紙に、何か文字のようなものが無意識に綴られている。
それは、たまに花のような絵を描いていることもある。
紙の隅から、細かな花が咲き誇る。
それは散ることのない花だった。
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