アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
19
-
日が昇り始めた頃、外が少しずつ明るくなっていくなか、目が覚めた。体が妙に重く感じて、起き上がろうにも力が入らない。がんがん、と頭の奥で鈍器で殴られるような感覚に、顔を歪める。
ただ、どうすることもできずに、視線を窓に向けて明るくなっていくのを眺めるだけだった。
「宮園さん、おはようございます」
七時頃を過ぎて、看護士の人が患者を回りにカーテンを潜って、入ってくる。視線だけを看護士に向けると、異変に気がついたらしい、体温計を私の脇に挟み、脈拍数などを測っていく。
「少し、顔が赤いですね」
にこり、といつもの笑顔を向けながら、30秒ほどで鳴った体温計を抜く。
「38.2……、高いですね」
咳や鼻水は? と聞かれ、首を振る。頭痛がある、と少し掠れた声で伝えると、看護士はカートから氷枕を出して、私の首後ろに入れる。
「食欲は?」
首を振る。いつも以上に、食欲などは湧いてこない。ただ、だるいと感じるだけだ。
「……いつも通り持ってきてもらうので、一口だけでも食べてください。薬をあとで持ってきますから」
そういって、看護士は次へ回っていった。
今日はカーテンは閉めたままになるらしい。
眠くはないが、瞼を上げているだけでもだるく感じて、目を閉じた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
21 / 948