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雅斗さんと話をしていると、病室の外から足音が聞こえてきた。
「──園宮さん。おや、お見舞ですか」
担当の先生だ。
白髪の混じった黒髪にのほほん、とした雰囲気の笑みを浮かべる50代ほどの先生。
「では、また今度にしましょうか」
「いや、いいですよ」
踵を返そうとした先生に、雅斗さんが慌てたように椅子から立って言った。
「そうかの。じゃあ、簡潔に」
「はい」
私のベットの正面に、穏やかな笑顔を浮かべて口を開いた。
「随分と調子がよくなったようなので、退院ももうすぐできますよ」
「!」
退院。その言葉に雅斗さんと顔を見合わせる。
「今度、外出で何もなければ検査次第ですね」
先生は本当に話を簡潔に終えて、帰っていった。
「よかったな、悠」
「うん、そうだね」
「そういえば、外出って?」
雅斗さんの問いに、今度のインタビューについて話をした。
「そうか。まぁ、無理しないようにな」
「うん」
「……それで、退院したらさ、一緒に暮らそうか」
「──え?」
あまりの突然のことで、私は雅斗さんの顔を見る。雅斗さんはすこし、照れ臭そうに顔を逸らしていた。
「……いい、の?」
「あぁ、今回距離を置いて分かったんだ。悠がいないと駄目なんだって」
「う、ん。……私も、一緒にいたい、」
今までほぼ同棲のように夜を過ごしていたからか、改めてこうやってはっきりさせることが、なんだか恥ずかしかった。
でも、今までにないくらい幸せを感じる。
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