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side.雅斗
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「おはようございまーす」
久々に通勤すると、次次と声を掛けられる。
「おはようございます」
「久しぶりですねー。どうしたんですか? 有給でしたよね」
「たまには消化しろって言われたんです」
「伊東さん、よく働きますもんねー」
軽く会話をして、営業部のある階に上がる。
「……はぁ」
自分一人のエレベーターの中で、ため息をはいた。
正直、悠が心配だ。家を出るときも、少し寂しそうに見えた。
昼に、一度電話しようか。
そう考えて、エレベーターから降りた。
「お、久しぶりに有給取らされて、数日お休みだった伊東くんじゃないか」
「……斎藤、はよ」
たまたま顔を会わせたのは、同期の斎藤。
「はよー。どうしたんだい? 折角の休みに彼女と過ごしたんじゃなかったのかい?」
「あぁ、過ごした」
「にしては、悩みがありそうだね。もしや、振られた?」
「有り得ない」
振られるなんて、有り得ない。あったとしても、別れるなんて認めない。
「即答かよ。じゃあ、なんなんだよ」
「いや……家を出るとき、寂しそうで」
「同棲してんのかよ!」
「この間からな」
一々反応が大きい斎藤だが、何度か相談にも乗ってもらったことがあって、いくつか借りがなくもない。
「うっわ、リア充かよ。彼女のいない俺への当て付けかよ」
(彼女じゃないけどな)
「そんで? 寂しそうだったから、どうしたんだよ」
「この間まで入院してたんだよ」
「なるほど。そんで一人になるから、男連れ込まないか心配なのか」
「心配だが、連れ込まないかとかそう言うのじゃない」
「随分と信用してるんだな」
「そんなこと出来るようなやつじゃないからな」
「ふーん」
「あっ、伊東先輩、お久しぶりですー!!」
話をしていると、急に話しかけられた。誰かと思えば、今年入ってきた新入社員だ。
一々俺に近づいてくる奴で、いい印象はない。
「数日会えなくて、寂しかったですー」
……うざい。
「悪いが、今はこいつと話しているんだ」
「こいつ呼ばわりかよ!?」
「えーいいじゃないですかー」
……早く消えろ。
「悪い、斎藤。また今度頼む」
「おー、今度なんか奢れよ」
タイミングが可笑しいかもしれないが、移動しよう。
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