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何日か経って、ついには雅斗さんとのデートの約束の日の前日になっていた。朝はいつも通りに、雅斗さんを見送った。
正直言って、落ち着かない。明日の服をどうしよう。何処にいくんだろう。女々しいくらい色々考えてしまっていた。
「うー……」
少しでも早く仕事に復帰できるように、軽くルーズリーフに物語を書いているが、それよりも気になってしまってそれどころではない。
落ち着かない。
prrr prrr
デスクに置かれたスマートフォンが、細かく震えて音を鳴らす。雅斗さんの名前が表示されて、嬉々として繋げた。
「も、もしもし?」
『悠?』
「うん」
声が聞こえただけで、嬉しくて鼓動が速くなっていく。
『声が聞きたかった』
本当に、好き。こうやって、話しているだけで"好き"が大きくなって、幸せを感じる。
『悠?』
「あ、ごめん。今晩何が食べたい?」
『夕飯? あーそうだな。「せんぱーい」』
「っ!!」
スピーカー越しに、雅斗さんを読んでいるであろう声がした。声が高くて、きっと可愛い女の子。声でわかった。雅斗さんを好きな人。
『「今夜の予定ありますかぁ? 二人で食事行きたいなぁ、って」』
今夜。
茫然をしていると、向こうで話をしていて、内容はよくわからなかった。
『──るか? おい、悠!』
「ぁっ、 ご、ごめんね。食べてくるんだよね気を付けてね」
『あ、おいっ』
何もこれ以上聞きたくなくて、早口で伝えて一方的に通話を切った。
スマートフォンをデスクに置いたまま、デスクの近くの仮眠用にあるベットに横になった。
──雅斗さん、今日遅いんだ。
──きっと、可愛い子なんだ。
──きっと……
ぐるぐると、頭の中がごちゃごちゃで、頭が痛い。
明日、デートだけど、もしかしたら帰ってこないかも。
──もしかしたら。
一番嫌な、最悪な可能性を考えてしまう。
──いやだ。
枕に顔を埋める。
一度考えてしまった、辿り着いてしまったその可能性が大きくなって、嫌で、怖くて、何も考えたくない。
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