アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
短編集「図書館にいる。」
-
図書館の二階に君はいる。窓の外を見ることができる席に、君は毎日のように座っていた。
読んでいる本は、いつも違う。
ミステリーやファンタジー、SFや恋愛もの。映画化されたものもあれば、世間で批判を集めたことのあるものまで。
君はいつも、毎日違う本を読んでは楽しそうな表情を浮かべていた。
そんな君に、本にいつまでも夢中な君に、僕は恋に落ちていたんだ。
もちろん、僕は遠くから見るだけで、君は僕がこんな気持ちを抱いているなんて、知らないだろう。
話しかけることなんて出来ない。出来たとしても、勇気なんてちょっともない。
眺めていられるだけで、幸せなんだ。
いつも同じところからしか見れないけど、だからこそ見つけることができることもあったりする。
ここにいられるだけで、君が見れる。
あ、目が合った。
君との距離が縮まっていく。
手が、伸びてきて、僕を手に取る。
「これ、まだ読んでない」
君は気に入ってくれるかな。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
58 / 948