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書き終えた原稿を出版社に持っていくと、淡島は他の担当作家の方と打ち合わせをしているところだった。
「すいません、東城先生。今打ち合わせ途中でして」
「気にしないで。今日は原稿持ってきただけだからね」
「はい、少し待っててください」
淡島は、担当作家さんが待っているであろう個室に入っていった。
『え、東城さんいらん?』
『ですから、少し待っててくださいと言っているんですが』
『まじで!!? サイン欲しい!!!』
『煩いですよ。静かに待っていてください』
『えー』
『……はぁ』
がちゃ、と扉が開いて、あきれた顔の淡島は、申し訳なさそうに口を開いた。
「東城先生、少し来てもらえますか」
「? はぁ」
個室に入ると、にこにこと笑っている男性が一人。
「こちら、間島孝弘先生です。東城先生にどうしても会いたいそうで 」
「はじめまして。東城先生に会えて光栄だなぁ」
手を握られて、ぶんぶん、と振られる。
間島孝弘先生は、主にミステリーで有名な作家。
「と、東城悠十です」
「執筆再開するんですか? 絶対買います!!!」
年は、たぶん一回り上だと思うけど、随分とパワフルな人だ。
「あ、ありがとう……ございます……?」
「因みに次は……ぐぇ、」
「いい加減にしろ」
ばしっ、と良い音と共に、淡島の手が間島先生の頭を叩いた。
「すいません、しつこい人で。受けとりますので、こちらに」
相当な強さだったのだろう。間島先生が頭を抑えて踞っているうちに、個室を連れ出された。
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