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その日の夜、夕食の後に龍太兄さんに会ったことを、雅斗さんに話した。
「そうか、よかったな」
リビングのソファに並んで座って、テレビを聞き流しながら、雅斗さんが呟いた。
「うん。子供も生まれるらしいよ」
「へぇ」
「……」
「悠? どうした、急に黙りこんで」
「あっ、いや……」
どもっていると、ぎゅう、と手を握られて、雅斗さんと目が合う。
「ん? 言ってみ」
「あ、うー……」
口に、出しても良いんだろうか。口に出して、雅斗さんが私を。
そう考えても、雅斗さんと視線が絡むと、どうしても口が開いてしまう。
「……雅斗さん、は、子供が欲しいって、思ったり……」
しないのか。
「私は男で、子供なんて生むことのできない体だから……」
やっぱり、女性の方がいいんじゃないだろうか。
自然と下がっていく視線が、雅斗さんによって上げられる。
再び絡まった雅斗さんの視線。瞳は真剣なものだ。
「何度も言ってやる。何度悠が不安になっても、繰り返すよ。
俺は、悠がいいんだ」
「っ、でも。ご両親とか……」
「うちは、兄弟も二人上にいる。それに、別に跡継ぎが必要な家でもない。お前が子供がほしいと言うなら、養子をとったっていいんだ。
俺の優先順位は、誰が何と言おうと悠が一番なんだよ」
「まさとさん……」
ぎゅう、と力強く抱き締められて、胸の奥が熱くなる。涙が今にも出てきそうにも感じる。
雅斗さんは、いつも私の欲しい言葉をくれる。
「わっ、私もっ、雅斗さんが一番、だよっ」
恥ずかしさの中、必死に絞り出した言葉に、雅斗さんは、
「ありがとう」
嬉しそうに笑っていた。
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