アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
side.雅斗
-
2週間の転勤。
あまりに突然の通告に、正直会社を辞めてしまおうかと思った。悠に伝えたときの、悠の表情は予想通りと言うか、申し訳なかった。
俺のいない2週間が本当に心配だ。
昨日も、電話したときは嘘をついていたのだから。
「はぁ……」
心配でもう仕方がない。
「おい雅斗ー? 何ため息ついてるんだ? お前らしくない」
「……兄貴」
今回の転勤は、兄貴の住む地域で今は居候させてもらっている。
「なんだ? 彼女か? 彼女のことか?」
「ん、まあ」
「まじかよ!! お前に彼女か!!
どんな子だ? 可愛いのか?」
「ちょっと、雅彦ー!? 私がいるのに、何聞いてるよ!!」
「ははっ、ごめんごめん」
兄貴─雅彦─は俺の三つ上で、ふたつ下の妻がいる。ちなみに、現在3歳の男女の双子がいる。
兄貴の仕事は、大学時代に立ち上げた企業の社長。たまにテレビで「イケメン若社長」なんて呼ばれている。
ただの愛妻家親バカだ。
「いや、でも雅斗の彼女は気になるなー。お前高校時代なんてモテてたのに、何も噂がねぇもん。いったいどこで捕まえてきたんだよー」
「それは私も気になるかもー 雅斗くんの彼女ー。全然女の気配ないもんねー」
「ねー」
(……女の気配もなにも、悠は男だし)
「いつか紹介するから、それでいいだろ」
「えー」
俺より年上の癖に、えー、とか言ってもキモいだけだ。
「じゃあさ!! じゃあさ!! いつから付き合ってんの?」
「それ気になるー」
「……高校卒業した日から」
「まじか! 10年じゃねぇかよ!!」
「結婚は? 10年だから、丁度よくない?」
「そうそう!!」
出会って1ヶ月も経たずに、「丁度いい」とか言って、結婚したのはどこのどいつだよ。
「あー……うん、結婚ね」
正直外国にでも行って、結婚したいと思ってる。
日本でなら、「養子縁組」と言うところだろうか。
悠には、「幸せな家庭」を教えてあげたいと思っているから。
「んで? んでっ!!? ちなみにどんな子?」
「出会いのきっかけは!!?」
なんで、大の大人に恋バナを話さないといけないんだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
91 / 948