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その翌日に雅斗さんは一日会社に行って、休暇をとった。
休暇中は、家の中でずっとくっついていたり、車で少し遠くに出掛けたりもした。
こっそり手を繋ぐと、本当に幸せを感じた。
ずっと続けばいいのに。
「雅斗さん、本屋に行きたいんだけど……」
雅斗さんの休暇最後の日は、この間行ったデパートで、二人用の土鍋を買った。
「わかった。近くの大きな本屋でいいか?」
「うん、そこがいい」
たしか、間島先生の新作が今日発売だった気がする。
「売り切れてないといいんだけど……」
間島先生は有名な作家さんだから。
車で5分位のところに、大きな本屋がある。本屋と言っても、文房具だとかCDも売っている。
新作コーナーに、広いスペースを取られ間島先生の本はあった。
「間島孝弘?」
「うん、この間偶々会ったんだ」
「ふぅん、」
買い物籠のなかに新作を2冊入れて、文房具コーナーで、買い置き用の原稿用紙を多めに、あとはシャープペンの芯を入れた。
あまりに籠の中が特定の物ばかりで、レジの人には、少し驚かれてしまった。
「雅斗さん、ありがと」
「どういたしまして。
喉乾いたから、飲み物買ってくるけど、何がいい?」
「じゃあ暖かいお茶がいいかな」
「わかった」
11月に入って、最近は寒くなってきた。薄手の上着をそろっと出した方がいいかもしれない。
───トン、
雅斗さんを待っていると、肩を叩かれた。
「え?」
「よお、園宮」
「っ!!」
にやり、と笑うのは、この間デパートに行った後に偶然会ってしまった元同級生だった。
なんて運がないんだ。
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