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もういっかいバーで ①
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町田 遥 26歳
さえない会社員。
その日はずいぶん酔っぱらっていた。
朝は目覚まし時計が壊れて遅刻するし、上司にはこっぴどく叱られるし、取引先へ向かうときに遅延もしたなぁ…。
しまいには、元カノが男と楽しそうに歩いてるところを目撃した。
別に未練があるわけではなかったけど、何となく虚しい気持ちになった。
今日は飲まなきゃやってられない。
「飲みすぎですよお客さん」
バーカウンターに立つウエイターがグラスを拭きながら言う。
酒は好きだけど弱い。
矛盾が生じているが、こういうとこから分かるように俺自身も色々曖昧な人間だ。
幸せな時期なんて一度もない。あっても一瞬で、すぐに崩れていく。
特に稼いだ金の使い道が決まっているわけでもないから、今日は表参道の無駄に入りずらそうな雰囲気のバーに入った。
「だいじょーうぶです」
「大丈夫じゃないように見えますよ?お水です。」
顔を突っ伏している俺の目の前に、薄い緑色のグラスに入った水が置かれた。
大分酔ってるけど、まだ飲んでいたい。
明日は休みだし、潰れて道端で寝てもいいかな…なーんて思い始めた。
その時、店の扉が開いた。
入ってきたのはいかにも金持ちでやり手なサラリーマンだった。
年は俺よりも少し上かなってくらい。
高そうな生地の濃い紺のスーツ、でけぇシルバーの腕時計。
年は近そうなのに、こんなに人生には差があるんだな
そう自分で落ち込んでいたら、そいつが俺の隣に座ってきた。
他に席は沢山空いてるのに
「ぅぇ?」
突然のことでアホな声を出してしまった。
「モスコミュール」
「フフ…」
お堅そうな顔に似合わず可愛らしい酒を頼むもんだから思わず笑ってしまった。
「なにか?」
あれ、なんか怒らせた?
男は俺の方は向かずに言った。
「いやぁ、可愛いの飲むんだなぁとおもって」
「そうか?俺はお前に飲ませようと思って頼んだんだけど」
「え?」
出来上がったモスコミュールは俺の目の前に出された。
「なん、なんでだよぉ~なめてんのかぁ~ヒック…」
「なめてはない。…今日はお前を持ち帰る」
「はぁ?なにいってんだおまえぇ…ヒック」
………と、いうのが、昨日の最後の記憶。
俺は今、なぜか裸でベッドの上にいる
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