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お色気。
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「ぶぇっくしょい!」
マスクを二枚もしているのに、それをものともせず入り込んできた花粉が、狂おしく俺の鼻の粘膜を刺激する。
「あぁー」
ため息とくしゃみのあとの声を混ぜたおとが喉から抜けていく。
マスクを外して鼻をかむ。キッツい度の入った花粉症用眼鏡を外して目をゴシゴシこする。擦っちゃいけないんだろうけど、痒くて耐えられない。
普段はコンタクトなんだけど、この時期にコンタクトとか地獄過ぎる。
「……っくしょぉい!!」
まただ。急いでマスクと眼鏡を戻す。
この季節は本当にダメだ。医者にいって薬をもらっても、マスクをしても、薬局で売ってる花粉症対策グッズを試しても、結局毎年、くしゃみはマシンガン、鼻水はまるで滝のよう。
鼻の下はガサガサになって血が出るし、調べたことはないけど、肋骨の一本や二本は折れているんじゃないだろうか。
マスクは一日に少なくても二枚は消費するし、ティッシュだって三日に一箱は無くなる。花粉を家に持ち込んだら大変だからクリーナーは欠かせない。目はそこまでひどいわけじゃないけど目薬だって必要だ。
とまあ、ここまで説明すれば花粉症の辛さは十分にわかってもらえるんじゃないかと思う。まあ話そうと思えばまだまだあるのだが、そこは我慢しよう。
「クソ、おっせぇなあいつ」
先に帰ろうか……
そんなことを考えていた矢先。
「ごっめーん、待った?」
「遅い」
部活の終わりが遅かった親友に文句を言う。
「ごめんって。ってかなんで待ってたの。帰ればよかったのに」
「いや……」
はは、と笑って視線をはずした。
家に変えるちょっとの間だけでも、顔を見ていたいなんていったらきっと、冗談だろって笑われるんだろう。
「ぶぇっきし!」
「……くしゃみに色気が無い」
「なんだよ色気って! いちいちそんなん気にしてられるか!! 死ぬわ!」
「いやだからもっとこう……くしゅっ、みたいな?」
コイツは馬鹿か? 馬鹿なのか?
「でもさー、ホントに馬鹿だねー。俺のことなんて待って無くてよかったのに。毎年辛いんだろ?」
こういう不意打ち優しいのやめて欲しい。
「っくしょいぁー」
ちょっと、ほんのちょっとだけ、さっきこいつが言ってたくしゃみを意識してみたりする。
「ん、ちょっとだけエロいー10点満点中7点」
「何言ってんだばーか。別に意識したわけでもねぇし」
……マスクをしててよかった。赤くなった頬なんて、みっともなくて絶対に見せられない。
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