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変わり者。
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篠ちゃんは変わってる。
あれだけ勉強も運動も何でもできて、顔もすっごい綺麗なのに、誰かと親しくしているのを見たことがない。
「友達」って、いないのかなぁ……………………?
篠ちゃんの周りにいるのは、媚びてる女子と、それを妬む男子ばっかり。
篠ちゃんも特に興味はなさそうだけど、俺には篠ちゃんが寂しそうに見える。
そうじゃなきゃ、少しは笑ってくれるんじゃないのかな。
笑ったとこが見たい。
篠ちゃんには、笑ってて欲しい。
何でかよく分からないけど、そんな風に思ってる自分がいたんだ。
今日もお昼は女子が作ってくれる。
「修くん、これ、今日のご飯ね」
「あ、柚実ちゃん先輩。ありがと!」
「うん、今日も可愛い!」
この人は白河柚実先輩。
俺の中では通称柚実ちゃん先輩。
俺はこの先輩、割と好き。
だって変に媚びてないし、さばさばしてて話しやすいし。
そのくせ、作ってくれるお弁当は繊細で、薄味なのにしっかりしてて美味しいし、見た目もめっちゃ綺麗なんだよねぇ。
柚実ちゃん先輩と少し喋って、お昼ご飯食べようとしたとき。
視界の端に、篠ちゃんが映った。
…………やっぱり一人でお昼食べようとしてる。
それも無表情で。
何か、そのままじゃ嫌だった。
気が付いたら、篠ちゃんの前に立ってた。
「篠ちゃん、一緒にお昼食べない?」
篠ちゃんは、少し驚いてた。
普段は無表情で、今も無表情だけど。
それでも、その目がほんの少しだけ、よく見てないと分からないくらいに見開かれたのが分かった。
「…………何故だ」
誰かと関わるのに、別に理由なんていらないんだよ?
「何となく。駄目?」
篠ちゃんって、ほんとはきっと不器用でしょ。
「……………………別に、駄目ではない、が」
そういうときは、「いいよ。」って言えば良いのに。
ちょっと、可愛いかも。
…………俺、何考えてんだろ。
「じゃ、行こっ!」
「あ、おい。どこに………………!」
ちょっと二人でいたかったから、俺は篠ちゃんの手を引いて教室を出た。
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