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他人と昼ご飯。
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深澤に連れてこられたのは、南側校舎の裏だった。
木が多く、あまり人が寄り付かない場所だ。
「うん、ここなら落ち着いて食べられるね」
「…………ああ」
何も言わないわけにもいかないと思ったから、とりあえずそう返す。
すると、深澤が振り返って俺を見た。
それも、物凄く良い笑顔で。
「珍しく篠ちゃんが返事した!」
おい。
お前は俺を何だと思っていたんだ。
いくら俺でも話し掛けられたら返事くらいするぞ?
流石にそこまで失礼人間ではなかったと思うんだが……………………多分。
「…………俺でも、返事くらいはする」
脳内で沸き起こった抗議の嵐を、少しだけ見せてみる。
返事をしておけば、とりあえずは会話が成り立つしな。
だが、深澤の反応は俺の予想の斜め上くらいを進んでいた。
「駄目だよ~篠ちゃん、自分から話し掛けないと」
…………絶対に無理だ。
全身全霊を以て遠慮させて頂く。
会話の要素が少な過ぎるので。
「こら、首ぷるぷるしないの! 強がってるだけのくせに!」
「…………っ?!」
俺、首振ってたか?
それに…………こいつ、エスパーか何かか?
俺の思考が読めるのか?
「と、とりあえずひりゅ…………んんっ、昼をだな…………」
「あ、噛んだ」
分かってるから言うな。
そういうのを「傷口に塩を塗る」と言うんだ。
と言うかお前は無自覚に山葵を塗るタイプだろう。
「でもまぁ、そうだねぇ。お昼食べよっか」
何てマイペース……………………!
…………駄目だ、こいつといると調子が狂う。
他人と昼ご飯を食べるというのは、こんなに疲れるものだったのか?
俺は密かに溜め息を吐いた。
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