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他人と昼ご飯。 Ⅱ
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とりあえず昼ご飯を食べようということになり、それぞれが弁当を開く。
特に会話のきっかけもないし、おそらく沈黙の昼休みになるんだろう。
そんな事を考えた。
が。
「篠ちゃん篠ちゃん、篠ちゃんのお弁当美味しそう!」
「…………?」
そんなにキラキラした目で見られても困るんだが。
「美味しそう……良いなぁ……」
もしかして、食いたいのか?
「…………食うか?」
そう尋ねると、深澤の頬が緩んだ。
「ほんと? 良いの?」
「………………」
こいつの反応はいちいちオーバーで、俺が反応に困る。
なので、軽く頷いてみた。
「何を食う? ……言っておくが、大した物は入っていないぞ」
「んとね、じゃあね~…………これ! この唐揚げ!」
言われるままに弁当箱を差し出すと、深澤は何故か目を瞑って小さな口を開けた。
…………………………は?
「口を開けた」って何だ「口を開けた」って!
「篠ちゃ~ん、早く~」
これはアレか。
食わせろってやつか。
冗談じゃない。
まともに人と会話するのも珍しい人間に、他人に弁当を食わせるなんて事を期待するんじゃない。
…………しかし、口ちっこいな……。
「……………………~~~っ!」
ずっと待っている深澤が可哀相になってきたし、何かもうこのままでは脳内大暴走になりそうだったので、とりあえず唐揚げを口に突っ込む。
…………死ぬかと思った……。
俺がこの数十秒程の間に脳内がオーバーヒートしそうになっていたのも知らず、深澤は呑気に唐揚げを食べている。
それも、何か端っこからカリカリかじっている。
…………小動物みたいだ。
俺は時々、本当にこいつが男なのか分からなくなってくる。
やってることがいちいち可愛いし。
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