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「明日」の約束。
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家に帰って一人、部屋で今日のことを思い返す。
初めて弁当を交換して、美味しいと笑ってくれた。
初めて、誰かと昼休みを過ごした。
初めて「友達」と言われて、初めて「明日」の約束をした。
今日は色々初めてのことばかりだ。
あんなに話したのも、初めてかも知れない。
明日もこんな風に、沢山の「初めて」を経験するんだろうか。
珍しく、明日が楽しみだと思った。
それから、今日が名残惜しいとも。
「明日」のことなんて、考えたことがない。
「明日」はいつでもそこにあって、今日と同じように滞りなく平坦に過ぎ去っていくものだった。
なのに。
今日一日で、それもほんの少しあいつと話しただけで、明日を楽しみにしている。
俺は、随分単純なんじゃないだろうか。
昼休みが終わる直前に、あいつとした約束。
「明日、一緒におんなじお弁当食べようね!」
満面の笑みでそう言われた。
どう返せば良いのか分からなかったから、
「……………………ああ」
と素っ気ない返事をした。
それでも、何故か嬉しそうにずっと笑っていた。
理由は分からなかったけれど、その笑顔を見ていると、そんな事はどうでも良くなった。
ただ、いつまでもこの顔を見ていられたら、なんて事を考えた。
明日の弁当のおかずは、何にしようか。
あいつは何が好きなんだろう。
明日、頑張って聞いてみようか。
「明日」のことを考えながら、俺は気付かないうちに眠ってしまった。
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