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馬の耳に念仏、馬耳東風。
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昼休みがやたら楽しみで、朝のHRも授業も、ほぼ聞き流している。
いつも、せめて授業は真面目に聞くようにしていたんだが。
一応真面目で通っているらしい(自覚はなし)俺が、何故ここまで上の空かと言うと。
朝、普段より少し早く登校したら、教室内の生徒はあまりいなかった。
…………深澤はいたけど。
こっちを見て、その後俺が鞄から出した弁当を見て、めっちゃ幸せそうに笑ってたけど!
つまるところ、その笑顔にやられて心拍数が急上昇、周りのことなど気にする余裕も無くなったということだ。
「おはよ、篠ちゃん」
「お…………はよう」
あんな他愛もない挨拶は、こんなに人の気分を左右するものだったのか?!
そもそも、何故俺は他人の、それも男の笑顔を見て心拍数が上がっているんだ。
あぁ…………今日の授業分の勉強は、後で教科書を読んでおけば大丈夫だろうか。
真面目に授業を聞かないと…………。
そんな事が頭の片隅を過ぎったが、どうにもならなかった。
とりあえず黒板は見ているけど焦点はおそらく合っていないし、ノートも白いまま。
ぼんやりと虚空を見つめながら、俺は昨日から今日にかけての深澤との会話を反芻しまくっていた。
…………もうこんな事をしている時点で、俺は人間として終わっているんじゃないだろうか…………。
他人との会話を思い出して、頬が緩みそうになるのに耐えるなんて、俺はまさか変態か!
いや、それは流石に………………。
自分で考えたことにドン引きしてしまった俺だった。
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