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篠ちゃんとお昼ご飯、二日目。 Ⅱ
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「……深澤」
お昼を美味しく(ちょっとハプニングあったけど)食べ終わって、木の幹にもたれて休憩していると、篠ちゃんがおもむろに口を開いた。
何だろ。
篠ちゃんから話しかけてくるって、珍しいな。
「ん?」
「苦手なものは、何だ?」
あ……さっきの事、気にしてたんだ。
何かほんと……折角作ってくれたのに、ごめんね。
でも、今教えとかなかったらまた今日みたいな思いさせちゃうかな……。
ちょっと躊躇ったけど、言う事にした。
「えっとね、酸っぱいのとか苦いのとか辛いのはちょっと苦手かなぁ。少しは大丈夫なんだけど、あんまり強いのは口がうぅ〜ってなっちゃうから。甘いのとかはすっごく好き!」
「甘い物……玉子焼きとか?」
「何でも。玉子焼きとかもだし、ケーキも」
「ふ〜ん。ケーキ、か」
何やらちっちゃく頷いてる。
ほんとに動作がちっちゃいなぁ。
そう言えば俺、篠ちゃんの事何にも知らないや。
「篠ちゃんは?」
「俺?」
思いっきり予想外、って顔されて、ちょっと笑いそう。
ほんとに篠ちゃんって自分の事に無頓着というか、何と言うか…………。
とりあえず頷いとく。
俺も篠ちゃんの事色々知りたいし。
篠ちゃんは何だか少し躊躇していた。
何でだろ?
「俺は……甘い物はどっちかって言うとその……苦手、だな」
え?!
嘘ぉ……………………。
篠ちゃんが言い淀んでたのは、このせい?
「何で?」
「……胸焼けしそうになるから。クリーム類とか、特に」
「そっかぁ…………」
何か、自分の好きな物苦手な人いると凹むなぁ。
まぁ、個人の好みだから仕方が無いって言うのは分かってる。
分かってるけど……。
俺がちょっとしゅーんとなっていると、篠ちゃんが少し慌てたように言葉を続けた。
「……でも、作るのは嫌いじゃ、ない」
「え?」
「いやその……俺はあまり食べないが、作るのは出来る」
何それ。
食べないなら、作る意味ないじゃん。
「……何で、作るのは好きなの?」
「好きって程では……あの、形とか味とか、作業を間違えなければ綺麗に作れる所が、楽しい。…………数学の問題、みたいだ」
……うん、やっぱり篠ちゃんってちょっとヘン。
何その理由。
でも、篠ちゃんらしいや。
「っ、ふふ、あははっ!」
「?! な、何だいきなり……」
「あのね、篠ちゃんらしいなって…………っあははははっ!」
「俺らしい?」
「うん、だって、ケーキに数学を持ち込むの、きっと篠ちゃんぐらいだよ!」
「…………仕方ないだろう。俺はそういう事しか……」
「うん、知ってる。ほんとはすっごい不器用だもんね? 人との接し方とか」
「……っ?!」
あはは、驚いてる。
みてたら分かるよ。
「そ、その……それはっ……」
「でもね」
何か言おうとしたのを遮る。
「俺は篠ちゃんのそういうとこ、嫌いじゃないよ。……どっちかっていうと、好きかも」
これは本音。
いつも頑張ろうとして、空回って、そんな篠ちゃんが可愛い。
……うん、やっぱ俺、おかしいかも。
「っ?!」
あ〜あ、顔真っ赤。
篠ちゃんのこういう顔はレアかもなぁ。
きっと、誰も見た事無い。
そう思うと、何だか嬉しくなった。
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