アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
[間奏] 京の逡巡。 Ⅶ
-
家に帰って、適当に必要な物を鞄に入れる。
俺の家と修の家は案外近く、ここまで来るのにもさほど時間はかからなかった。
修の家に戻ると、なにやら押し殺した泣き声が聞こえる。
どうやら、修はまた泣いているらしい。
随分不安定になっているようだ。
鞄を居間に置いて、修の部屋へ行く。
布団がこんもりと盛り上がっていて、修がこもっているらしい事が分かる。
とりあえず布団の上に手を置くと、修がびくっと震えた。
「…………修」
声をかけて、一定のリズムで布団をとんとんと叩く。
少しして、瞳一杯に涙を溜めた修が顔を覗かせた。
「け、いぃ…………ひっ…………」
「ん。ちゃんと、帰って来た」
「うん…………」
「何か、食べられるか?」
「分かんない」
「とりあえず、雑炊作るから」
「京、どっか行っちゃう?」
「…………まぁ、台所に」
「や、やだぁ…………っ」
どうしたものか。
「戻って来る」
そう言って宥めるが、修はいやいやと首を振って泣き出しそうな顔をする。
「…………だが、寝ないと治らないぞ?」
「でも嫌ぁ…………ふぇ?」
きゅ、と袖を握られて、思わず修を抱き上げてしまった。
もう俺は駄目だな。
修は驚いたようで、涙も止まっている。
柔らかいし軽いし…………何なんだ。
寝かせるのは諦めて、そのまま居間へ連れて行った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
51 / 123