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時間は甘く溶ける。 Ⅷ
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「あの、さ」
夕食を食べ終わって、片付けようと立ち上がると、修に服の裾を掴まれた。
「……今日、帰っちゃう?」
寂しげな、という表現がぴったりな声。
少し屈んで、視線を合わせる。
「その、一人はやだから……一緒にいて」
「親は?」
「今はフランスにいるから。仕事が忙しいんだって」
「そうか」
それなら、まぁ。
さっさと片付けを済ませようと修に背を向けると、慌てたような声が聞こえた。
「だから、帰っちゃやだっ!」
「帰らない」
「へっ?」
「片付けるだけだ」
しばらく瞬きを繰り返して、修はふわ、と笑う。
「うんっ!」
…………できるだけ早く終わらせて、修と一緒にいよう。
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